水際対策の緩和が進む中、減便が続いてきた国際線も復調の動きが見えてきた。航空各社から増便の発表が相次いでいるほか、従来型の航空会社(フルサービスキャリア=FSC)が撤退した路線に格安航空会社(LCC)が参入するケースもある。
LCCの便が増えるのは水際対策緩和が比較的早く進む東南アジアが中心で、夏休みに向けた選択肢が増えそうだ。
福岡-バンコク線は2年4か月ぶりに復活
一時期は途絶えていた国外LCCの日本路線も、少しずつ戻りつつある。韓国LCCのティーウェイ航空は、22年5月時点でソウル(仁川)-大阪(関西)、東京(成田)、福岡の3路線を週1往復運航。韓国側の水際対策が緩和される6月から、それぞれ週2往復に増やす。
ベトナムのLCC、ベトジェットエアは7月2日に福岡-ハノイ線を週3往復、7月3日に名古屋(中部)-ハノイ線を週4往復で開設する。両路線はすでにベトナム航空が乗り入れており、FSCとLCCの間で価格競争が進みそうだ。
7月16日には同社の子会社にあたるタイのLCC、タイ・ベトジェットエアが福岡-バンコク(スワンナプーム)線を開設し、週3往復する。コロナ禍が本格化した20年3月にタイ国際航空が運休して以来、2年4か月ぶりの復活だ。タイでは5月から、ワクチン接種を完了するか陰性証明を持っていれば、事前に専用アプリに登録することを前提に入国時の検査と待機を免除する運用を始めている。観光客の受け入れ再開に向けた動きが加速しており、タイ・ベトジェットエアのウォラナティ・ラプラバン最高経営責任者(CEO)は5月24日のオンライン会見で、
「タイの状況はかなり良く、皆の生活も通常に戻ってきている。再び観光客を迎える準備が始まっている。バンコクやプーケットは活気を取り戻している」
などとアピールした。
国外のLCCにとっては、本拠地から日本に行く観光客を確保することも路線維持のためには必須で、観光客受け入れ再開に対する期待は高い。ラプラバン氏は
「タイやベトナムの人々は日本が好きで日本に行きたがっており、日本(の国境)が開かれることを楽しみにしている」
「九州は非常に魅力的な島で、九州には福岡、北九州、鹿児島など、タイ人が行くのを心待ちにしている場所がある」
とも話した。バンコク-福岡線は6月の開設を予定していたが、水際対策の問題で7月にずれ込んだ経緯がある。タイのLCC、タイ・エアアジアXのバンコク(スワンナプーム)-東京(成田)線も同様で、6月の再開予定が遅れる見通しだ。
A380の定期運用も復活
国内の航空会社でも増便が相次ぐ。日本航空(JAL)が出資するZIPAIR(ジップエア)は、成田-ソウル(仁川)便を増便する。この路線はすでに週に6往復しているが、成田発ソウル行きは6便中3便を貨物便として運航してきた。韓国側の水際対策緩和で、6月から全6便に乗客を乗せて運航する。週3往復の成田-ホノルル便は7月16~8月31日の夏休み期間中、毎日運航に切り替える。
FSCも同様だ。JALは7月から羽田-シドニー、ヘルシンキ線、8月から成田-ボストン、バンクーバー、ベンガルール線、羽田-ロンドン線を増便。全日空(ANA)も7月から羽田-ロサンゼルス、シドニー線など北米・アジア路線を中心に増便する。ハワイ(ホノルル)便も増便され、超大型旅客機のエアバスA380型機も再び定期便としてお目見えする。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)