楽天カード(東京都港区)は2022年5月17日、同社が発行するクレジットカードについて6月21日をもって会員規約を改定すると公式サイトで発表した。
改定後の規約では、カードのショッピング枠を「現金化」するための利用など、具体的な禁止行為を列挙した。その中では、「転売事業」を目的とした商品購入も禁止する行為の1つとして挙げている。
「トラブルの発生防止、会員様への注意喚起を目的」
今回の規約改定では、カード利用にあたっての禁止行為を伝える項目が大きく変更された。
改定前は「会員は、現金化を目的として商品・サービス等の購入等にクレジットカードご利用可能枠を利用することはできないものとします」という一文だったが、以下のように具体的な禁止行為を並べる形となった。
(1)クレジットカードご利用可能枠の現金化を目的とする商品若しくは権利の購入又は役務の受領。
(2)法定通貨として定められ流通している紙幣又は貨幣の購入。
(3)資金調達又は転売事業を目的とする商品若しくは権利の購入又は役務の受領。
(4)現金又はこれに類する経済的な利益を受けるため、加盟店又は第三者との間で、商品又は権利の買戻し又は譲渡を約束すること。
(5)法令に違反する事業者がする取引(無許可・無登録事業者が行う取引を含む。)につき法令に違反することを知りながらする取引。
(6)その他公序良俗又は法令に違反する取引。
楽天カード広報は20日のJ-CASTニュースの取材に、今回の改定は「会員保護の観点から、従来の規約ではわかりにくかった部分をより明確に記載」したものだとして、
「主に、現金化を目的とした商品・サービスの購入等によるトラブルの発生防止、会員様への注意喚起を目的としています」
と説明する。カード利用枠を現金化する利用法については、「簡単に儲かるとする詐欺行為などもあり、消費者庁などからも注意喚起がなされています」とも補足した。
「転売事業」明記にも注目
今回の改定をめぐり、インターネット上では、転売事業を目的とした利用が禁止行為として挙げられたことが注目を集めている。改定後の規約には、前述のとおり「転売事業を目的とする商品若しくは権利の購入又は役務の受領」との文言がある。
規約上の禁止行為の中に、「転売事業」を明記した狙いについて広報に聞いたが、回答は次のようなものだった。
「当社では、これまでも現金化を目的とした商品・サービスの購入等に関する注意喚起を、規約上やホームページで行ってきました。今回の改定では、会員保護の観点から、従来の規約ではわかりにくかった部分をより明確に記載しています」
実効性の確保や規約に違反した場合の対応については、改定は「注意喚起」が目的であると重ねて伝えつつ、次のように回答した。
「本条項に限らず、会員規約に違反した場合は、規約に則り、利用停止・退会などの対応を行わせていただく場合がございます」