義足によって「足がない」状態から「新しい足ができた」感覚に
一方、幻肢の足は現在、指先が残っていると感じるほどではありません。感覚が変わったのは事故から数か月後、国立障害者リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)に入院していた時で、義足での歩行訓練を始めてからだったと思います。
義足を履いたことを機に、「足がないけどあるような感覚」から「新しい足ができた感覚」に変わっていったのかもしれません。義足が、かつてあった自分の足に置き換わったのかなと思います。切断した直後は「ここに足があったんだよな」という感覚が残っていたけど、義足を履くようになってから薄れていきました。
それでも、足にも痺れは感じます。長時間正座をしていると立ち上がれないくらい足が痺れますよね。感覚としてはそれに似ています。
耐えられないくらい強い痺れが急に襲ってくることもあって、衝撃がドンと走ったり、痛みで体が勝手にピクッと動いてしまったりということが時々あります。強い痺れは義足をつけていない時に来て、そうなると義足を履けなくなります。逆に義足をつけている時は、立ち上がれないほどの激しい痛みを感じたことはありません。自分でも不思議です。