コロナ禍で増す注目度、市場にも動き
それでも、コロナ禍で健康や食に対する意識が高まったことで、デカフェへの注目度は増している。全日本コーヒー協会のデータによると、21年のデカフェコーヒーの輸入量は4年ぶりに300kgを超え、ここ10 年で最高を記録した。
「鬼門」だった缶・ペットボトルでも、動きがみられた。サントリーは20年7月に500mlペットボトルのラテ「クラフトボス デカフェ」を発売し、現在もECサイトを中心に販売中だ。無印良品は21年9月から缶のブラックコーヒー「カフェインレスコーヒー・無糖270g」を販売。そして、UCCもペットボトルのブラックコーヒー「UCC COLD BREW DECAF PET500ml」を同月に発売している。
デカフェに関心がある若年層を意識した「UCC COLD BREW DECAF PET500ml」は、デカフェの「おいしくない」というイメージを払しょくするため、ブラジル産とコロンビア産のカフェインレス豆をブレンドし、「香り」や「コーヒー感」の実現にこだわった。22年3月21日にパッケージがリニューアルされ、現在はECサイトを中心に販売している。
UCCの小型ペットボトルコーヒーブランド「UCC COLD BREW」では、「DECAF」のほかにも、カフェインを含む「BLACK」と「LATTE」(22年3月発売)を展開している。ただ、「BLACK」と「DECAF」のラインアップだった21年時点で、「DECAF」の売れ行きはブランド内で1割程度だったという。「(デカフェは)やっぱりまだまだニッチだな」と話す紙谷さんだが、商品を展開することで見えてきたものもあったという。
「これまで、デカフェのニーズがどこにあるのかといえば、実は把握しきれていませんでした。実際に消費者の声を聞いてみると、『夜に飲めてよかった』とか、『こういうサイズ(500ml)が買えてうれしい』などの意見をいただきました。デカフェのニーズは出てきたんだな、と実感しています」
紙谷さんは、普通のコーヒーと比べて販売本数が多くなくても、地道に販売を続けていくことで、潜在ニーズを掘り起こしたいと意気込む。
「カフェインレス市場が通常のコーヒー市場と(シェアが)入れ替わることは、おそらくないと思います。ただ、就寝前や会議など、コーヒーを飲みたくても我慢されている方はいっぱいいらっしゃいます。そういった方に、デカフェの良さを伝えていくことが重要だと考えています」
(J-CASTニュース記者 佐藤庄之介)