立憲民主党が2022年夏の参院選に向けて、日本維新の会への批判を強めている。4月25日には党の最高顧問を務める菅直人元首相が参院選大阪選挙区の「特命担当」に就任し、連日のように維新批判を行っている。5月16日には大阪市役所を訪れ、松井一郎代表(大阪市長)宛ての質問状を提出。維新について「自民党よりも右翼的だ」「右翼的部分が国民に伝わっていない」(共同通信)などと述べた。
野党第1党の役割のひとつが政権を目指すことだが、与党に対する批判よりも維新批判がクローズアップされかねない局面だ。西村智奈美幹事長は5月17日の定例会見で、維新を「自民党のアシスト」「自民党よりも、もうちょっと右寄り」だと表現し、菅氏の発言に理解を示した。仮に維新が野党第1党になれば「保守的な2つの政党が政権をかけて争うということになるだけ」だとして、野党第1党の座を死守したい考えだ。
「自民党のアシスト」「自民党よりも、もうちょっと右寄り」
菅氏の質問状は、核共有や原発再稼働に関する維新のスタンスを問う内容。市役所前で演説した後に松井氏を訪ねて渡そうとしたが、不在だったため、職員に手渡した。松井氏は菅氏の「右翼的」発言を報じる記事をツイッターで引用しながら、
「カンさん、僕は右とか左とかそんな事を意識した事はありません。政治家である限り、目の前の現実に問題意識を持っているだけです」
と反応した。
こういった経緯を念頭に、西村氏の記者会見では、「本来戦うべき相手は与党ではないのか」などと党のスタンスを疑問視する質問が出た。
西村氏は、野党第1党の役割として
「国会の中できちんと行政監視をして、与党がやっていることに『ダメなことはダメ』『いいことはいい』と、やっぱり言っていかなければいけない」
とする一方で、維新の政策について
「やっぱり自民党のアシスト、なおかつ、もうちょっと言えば、自民党よりも、もうちょっと右寄り、右の方の政策を訴えていることが多いと思う」
と表現。その上で
「そういう意味でも、言うことは言っていかなければいけないということで、菅(直人)さんは発言をされているんだというふうに思う」
と話し、菅氏の発言に理解を示した。
仮に維新が野党第1党になれば「オルタナティブ示せる状況にならない」
さらに、仮に維新が野党第1党になれば
「保守的な2つの政党が政権をかけて争うということになるだけであって、日本の政策、政治についてオルタナティブ(代替策)が示せるという状況には決してならない」
とも述べ、有権者にとっての選択肢が狭まることを指摘した。その上で次のように話し、参院選後も野党第1党の座を維持したい考えだ。
「ですので、私たち立憲民主党が野党第1党として頑張っていかなきゃいけない、ということだと思っています」
読売新聞が5月13~15日に行った世論調査によると、立憲の政党支持率は前回4月調査よりも1ポイント低い4%で、維新は同2ポイント減の3%だった。
参院大阪選挙区は改選数4。16年、19年と2回連続で維新2議席、自民と公明が1議席ずつ獲得する構図が続いている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)