神奈川県川崎市中原区内の東急電鉄・目黒線の踏切で、鉄道ファンの若い男性3人が遮断機によじ登って新型電車を撮影する様子を写した写真がツイッターに投稿され、疑問や批判が相次いでいる。
電車の運転士は、現場で一時停車して男性らに公開説教をしたほか、神奈川県警の警察官も通報で駆けつけていた。東急では、「マナーに関してはお客さまのモラルに頼らざるを得ず、当社と致しましてもその対応に非常に苦慮している」と説明した。
「運転士は、一時停車して、よじ登った人たちを叱っていた」
メガネにマスク姿の男性が、カメラを右手に持って、遮断機の一番上の×形をした場所に寄りかかっている。その前の下にも、カメラを抱えるなどしたマスク姿の男性2人が、遮断機の台座部分に立っていた。
この写真は、2022年5月15日にツイッターに投稿された。
遮断機のバーのそばにも、カメラを抱えた男性2人がおり、電車が来るのを待ち構えているのが分かる。
投稿によると、東急の運転士が、遮断機によじ登った男性らを見つけ、電車を一時停車させた。そして、運転士は、男性らを叱っていたという。
この投稿は、写真のインパクトから大きな話題になり、4万件以上リツイートされている。寄せられた声のほとんどが、3人への批判的な意見だった。
この踏切は、目黒線の元住吉―武蔵小杉駅間にあり、投稿者のツイートによると、15日の13時53分ごろに撮影したという。鉄道ファンが撮っていた電車は、試運転と表示されていたそうだ。鉄道ファンが集まったことで、歩行者や車にも迷惑がかかったのではないかとし、遮断機によじ登った人については、警察に情報提供することも検討したいと明かした。
ツイッター上では、他にも、違う角度からの写真がいくつか投稿されている。それらを見ると、遮断機のバー近くで、3人がいたところと逆側に、10人ぐらいの鉄道ファンがカメラを構えていた。ぎゅうぎゅう詰め状態で、遮断機から身を乗り出して撮影する人も見られた。
鉄道ファンが遮断機によじ登ったことについて、東急の広報グループ担当者は16日、J-CASTニュースの取材に対し、次のようにメールで回答した。
東急「対応に非常に苦慮している」
「今回の事象では、踏切障害物検知装置の動作によるもので、非常ボタンは押されておりません。特殊信号発光機動作にて、当該踏切の約15m手前で停車しました。列車停止後、担当乗務員は、乗務員室より顔を出し、公衆に対し踏切道外に出るよう注意させていただきました。なお、距離が遠かったので、大きな声で注意いたしました」
この電車は、回送列車だったため、通常の運行への影響はなかったとした。目黒線と相互直通運転をしている東京メトロの車両だったが、普段と違う運用で走行していたため、これが珍しいと鉄道ファンが集まったと推測されるという。
「当社では電車を撮影の際にはフラッシュの使用や列車への接近など、安全確認の妨げとなる場合は注意喚起をいたしております。また、撮影時のマナーについてお願いをしておりますが、マナーに関してはお客さまのモラルに頼らざるを得ず、当社と致しましてもその対応に非常に苦慮しているところでございます。今後も撮影ルールを守り、安全に撮影をいただけますと幸いです」
今回の件について、神奈川県警の中原署は5月16日、取材に対し、投稿者が撮影したのとほぼ同じ時間に、遮断機よじ登りについて目撃者から110番通報を受け、警察官が現場に出動したことを明らかにした。
よじ登った男性らに事情を聴こうとしたが、男性らの確保には至らなかったという。東急から被害届を受けたかなどは回答を控えたいとしたが、その後も、この件での捜査は続けている模様だ。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)