ロシアによるウクライナ侵攻に対する制裁に慎重な態度を続けている中国が、ツイッターでロシア側の主張に同調する場面があった。ロシアのドミトリー・ポリャンスキー国連次席大使は、英スカイニュースに中継で出演した時、司会者が「時間切れ」を理由に「すぐに私のインタビューを終了させた」としてツイッターで憤った。これに対して、中国外務省の華春瑩報道局長が「欧米の『報道の自由』のもう一つの典型的な例」だと反応した。ただ、ポリャンスキー氏は司会者が発言を遮ろうとしても30秒以上主張を続けており、ポリャンスキー氏が主張するように、司会者が「すぐに終了させた」かは解釈の余地がある。
「恥をかいた司会者が突然...」
ポリャンスキー氏のツイートは2022年5月10日付で、
「欧米のメディアは、間違いなく真実には無関心だ。スカイニュースの司会者は、私が、英国は大統領が第2次世界大戦で英国人を殺したナチスの連隊の記章を付けて自慢している国を支持している、と説明すると、すぐに私のインタビューを終了させた」
という内容だ。このツイートにはSNS「テレグラム」の自分の書き込みへのリンクがあり、経緯を詳しく説明している。それによると、インタビューでは(1)ナチスドイツの第3SS装甲師団「トーテンコップ」が用いていた紋章が入った服を着た右派民族主義者の写真を、ウクライナのゼレンスキー大統領がインスタグラムに掲載し、ナチズムに対する勝利を祝ったことを世界はどう考えるのか(2)この部隊は第2次大戦初期に約100人もの英国人捕虜を殺害したことを、英国政府と国民は知っているのか、などと主張したことを紹介。
その上で、司会者の対応を
「恥をかいた司会者が突然、時間切れで、私の主張を独自に検証することはできない、と言い出した」
などと批判した。
司会者が割って入ろうとしても30秒話し続けた
華春瑩氏は5月12日にポリャンスキー氏のツイートを引用しながら、
「中国には『鈴を盗むときに自分の耳をふさぐ』という慣用句がある。欧米の『報道の自由』のもう一つの典型的な例だ」
と同調した。
「呂氏春秋」の故事「耳を掩(おお)いて鐘を盗む」のことを指すとみられる。広辞苑第7版によると「自分の罪悪が人に知られないようにと思っても、すぐ知られてしまうことのたとえ。また、良心に背くことを知りつつ、あえてすることのたとえ」だ。
ポリャンスキー氏は実際の番組では、約1分にわたって主張を展開。割って入ろうとする司会者に「邪魔しないでください」と言い返し、司会者の「時間切れ」発言が出るまでにも30秒以上あった。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)
China has an idiom for this: plugging one’s own ears when stealing a bell. Another classic case of Western “freedom of the press”. https://t.co/hNiYUUI56B
— Hua Chunying 华春莹 (@SpokespersonCHN) May 12, 2022