「事実上反故」慰安婦合意への影響は 韓国新政権の人事に見る、対日関係改善の「本気度」

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李氏の代表団起用で「慰安婦合意の実効性を回復させる狙い」?

   この経緯が李氏の外交官としてのキャリアに影響したとの見方を出ている。李氏は16年に駐シンガポールに就任したが、18年に「個人的な理由」で辞任して帰国。当時、聯合ニュースは

「慰安婦合意に関連し、責任を問われて帰任したのではない」

との韓国外務省当局者の見方を伝えたものの、必ずしも額面通りに受け止められているわけではない。

   その李氏の代表団起用には「慰安婦合意の実効性を回復させる狙いがあるとの見方」(聯合ニュース)がある一方で、左派のハンギョレ新聞は

「今回の訪日代表団には、朴槿恵政権下で日韓慰安婦合意に達し支持した元高官や教授らも含まれており、議論が予想される」

と懸念を表明した。

   実際、当時の与党(尹政権にとっては野党)「共に民主党」内のグループは「誤った外交シグナルを送る結果を招きかねない」と批判する声明を出している。

   慰安婦問題以外に日韓関係を悪化させた要因のひとつが、元徴用工による訴訟だ。18年に大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じる判決を出したため、原告が差し押さえた日本企業の資産を売却し、現金化するプロセスが進みつつある。実際に現金化されれば、日韓関係がさらに厳しい状態になるのは必至。いったん賠償金を政府側が立て替えて原告に支払い、現金化の先延ばしを図る案も浮上するが、脆弱(ぜいじゃく)な政権基盤で実現できるかは未知数だ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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