若者はギターソロをスキップして音楽を聴く――。2022年5月7日、ツイッター上でこんなテーマが話題にのぼったのを受け、ロックバンド「くるり」の岸田繁さんや「King Gnu」の常田大希さんなど、国内の有名ギタリストたちが熱い持論を繰り広げた。
「メガデス」の元ギタリスト、マーティ・フリードマンさんは、楽曲制作の現場でギターソロが軽視されている現状を嘆きつつ、「曲作りの段階で、ギターソロの内容、パフォーマンス、とその曲との独特な奇跡の組み合わせを大事にして欲しい」と訴えた。
King Gnu常田「そのうちギターの時代が始まる」
話題の発端は、ミュージシャンの高野寛さんが5月5日に投稿したツイートだった。
「サブスクで、ギターソロが始まるとスキップする若者多いみたいですね。特に歪んだギターは不人気だとか....」
高野さんが投稿の参考にしたのは、21年9月25日に産経新聞電子版が配信した「イントロとギターソロを飛ばして聴くのは邪道」という記事。同記事では、「スポティファイ」などの音楽配信サービスでギターソロのある楽曲が流れてくると、利用者は「テンションが下がる」ことから、次の曲にスキップしてしまう、という音楽関係者の話が掲載されている。
前述の高野さんのツイートが注目されると、ツイッター上では「ギターソロ聴かんの若人は!?えぇ...ちょっと考えられない」「強烈なジェネレーションギャップを感じてる」などと驚きの声が続出。7日朝6時には「ギターソロ」がトレンド入りした。
現役のギタリストたちも黙っていなかった。「くるり」のギター・ボーカルを務める岸田さんは「ギターソロて流行ってないの?オレは曲飛ばしてギターソロだけ聴くけどな」と持論を展開。「King Gnu」ギター・ボーカルの常田さんは「焦るなよ またそのうちギターの時代が始まるのだよ ギターソロ の件」と自身のギタープレイが印象的な楽曲「飛行艇」のライブ映像を投稿した。
「ギターソロをスキップしないで〜!(笑)」
そうした中、7日に「ギターソロをスキップしないで〜!(笑)」とツイートしたのが、世界的なヘビーメタルバンド「メガデス」のギタリストとして活躍したフリードマンさんだ。フリードマンさんは日本を拠点に活動し、歌手・相川七瀬さん、ももいろクローバーZなどをサポート。音楽番組にも数多く出演している。
フリードマンさんは「サブスクでギターソロが来たらスキップする事よく分かる。そして僕でも納得する」とした上で、「ギターソロをスキップされる曲は多分、バンド物じゃなくてアーティスト系だと思う」と持論を展開する。
フリードマンさんいわく、海外のメインストリームで活動するアーティストの楽曲制作はコストがかさむ。その中で「一番節約出来る部分はギターソロ」なのだという。
「曲はギターソロ(の)『存在感』さえあれば大丈夫と思ってる方(が)居ると思う。なので、とにかくボーカル休憩の8小節、ちょっとした喧しい歪んでるギターソロ(が)あったら大丈夫になっちゃう」
ギターソロが楽曲制作の段階から軽視されていることに、フリードマンさんは「これは大丈ばない!」「ギターソロはボーカルと全く同じ存在じゃないとスキップ(される)のは当たり前だ」と主張する。
フリードマンさんは、ギターソロに存在感がある好例としてロックバンド「QUEEN」の楽曲を引き合いに出し、「フレディー(マーキュリー)のスーパーボーカルの存在感に負けないブライアンメイのギターソロ。それ程のクオリティならスキップされないだろう」と持論を示した。最後には「曲作りの段階で、ギターソロの内容、パフォーマンス、とその曲との独特な奇跡の組み合わせを大事にして欲しい」と訴えた。
ギターソロをスキップしないで〜!(笑)https://t.co/cJQ1Iu0nya
— Marty Friedman (@marty_friedman) May 6, 2022