大阪市の水族館「海遊館」が2022年4月27日、水槽の清掃時にダイバーがアザラシを「小脇に抱える」ことで安全確保する姿をツイッターで披露した。ネット上では「可愛いなぁ~」などの反応が広がっている。アザラシについて詳細を聞いた。
アザラシを「小脇に抱える」
海遊館公式ツイッターは27日、ワモンアザラシの「ミゾレ」について、「掃除している人の手の動きが気になりすぎてダイバーと水槽の間に高確率で割り込んでくる」と紹介した。続けて、
「視界わるいし、ミゾレに当たったら危ないし...やりにくいなぁ。そこでダイバーが思いついた策が...ミゾレを小脇に抱える」
と対策を伝えた。添付された動画には、潜水用具と軍手を装着のうえ水槽を内側から清掃する職員が、胸元に体を割り入れるアザラシを肩のあたりで優しく支える姿が映っている。アザラシは職員の動く手元を追いかけるように頭で円を描いている。
また同日に公開した公式ブログでは、「普段、陸上でミゾレの身体を触ろうとすると、怒られることが多いのですが、水中だと触られても気にならないのか、じっとしてくれることが多いです」とも明かす。
清掃していたのは、同種が飼育されている「北極圏ゾーン」の水槽を底面から見上げるように観覧することができるドーム型アクリルパネルだ。
今回のツイートは1万7000件以上のリツイートや5万6000件超の「いいね」を集め、「手の動きにシンクロしてる 可愛いなぁ~」「小脇に抱えてしまえアイデア、最高」「愛おしいぃー」「可愛い割り込みを直で見てみたいです」などの反応が寄せられている。
反響を受けて海遊館の飼育担当は2日、J-CASTニュースに対し、「嬉しく思っております」と喜びを表した。週に1度ほど水槽の状態に応じて行っているドーム清掃について、次のように説明した。
「じっとしてくれているとはいえ、ミゾレが嫌がっていないか常に気を配りながら掃除をすることになるので、これはこれで大変です。その他、ミゾレが近づいている場合でも触れなくて済む状況なら触れない等、不必要な接触は避けるよう努めています」
抱き心地に関しては、「そっと手で支えている程度ですので、抱き心地を感じるまでは至らないです」という。
「人に対する警戒心が少ない」理由は?
同種は本来、警戒心が強い性格とされている。実際に同じ水槽で飼育されている2頭は、「ダイバーに近づくような行動を見せることはありません」。 うち1頭、推定17歳メスの「アラレ」はミゾレの母だ。
ミゾレの人馴れした行動には成長過程が影響しているという。
海遊館において初めて繁殖した個体で21年4月に誕生したものの、出生直後に体調不良に陥った。完全人工哺育で育てたため、「他個体と比較して人に対する警戒心が少ないです」。
当時を飼育担当は「何日も24時間つきっきりで、肉体的にも精神的にも過酷な期間でした」と振り返り、「SNSなどで皆様から暖かい言葉を頂いたことが大変励みになりました」と補足。
また今回の行動については、「まだ子供のワモンアザラシで周囲への興味が旺盛ということも相まって、ダイバーの手に付けている手袋や、手の動きが気になって近づいてくることがあります」と見解を述べた。
飼育担当は投稿をきっかけに、「ミゾレだけでなく海遊館のワモンアザラシ、自然で暮らすワモンアザラシのことに興味を持っていただけると嬉しいです」と呼びかけた。
掃除している人の手の動きが気になりすぎてダイバーと水槽の間に高確率で割り込んでくるミゾレ。
— 大阪・海遊館 (@Osaka_Kaiyukan) April 27, 2022
視界わるいし、ミゾレに当たったら危ないし…やりにくいなぁ。
そこでダイバーが思いついた策が…
ミゾレを小脇に抱える。
ブログ▶https://t.co/47dH7ETWZ6#ミゾレもまんざらではないようです pic.twitter.com/jd1EyC4Ra1