障害者雇用の現実に「ガッカリしてしまった」 諦めかけた社会復帰、手足3本失った僕の就活実体験

転職を決めた理由

   就職を諦めかけました。「もう無理だ」と思ってしまいました。それでも兄が激励してくれたおかげで、もう一度頑張ろう、自立しようと思い直しました。

   その結果、大手グループ会社のIT企業に障害者雇用枠で正社員採用してもらうことができました。給与も20万円くらい、ボーナスもあって、生活に必要な額を頂ける会社でした。1人暮らしも無事スタートできました。

   だけど、入社したらまた別の現実に直面します。給与が上がらなかったのです。22歳で入社し、ほとんど新卒の同期は毎年昇給していくのに、僕だけは違うレールでした。

   仕事内容も、求められるレベルが低かったです。出世も難しそうだし、成長も期待されていないのかな。そんな風に違和感を抱いてしまいました。この会社で自分は成長できるのか、違う方向に進むべきなのかを考えた結果、勤めて3年、2017年に転職しました。当時まだ25歳。もっと仕事したいし、ステップアップしたかったんです。

   転職も当初、障害者雇用枠で探しましたが、やはり給与が低かったです。幅を広げたいと思っていた中、転職エージェントに「ここだったら一般採用で入れるかもしれない」と紹介してもらった会社がありました。それが実際に一般採用枠で入社し、今も勤めている航空関連会社です。毎年の昇給もあるし、新しい仕事も振られます。

   ここ最近の障害者雇用の求人はちゃんと見ていないので、最新の実態は分かりません。待遇が上がっていると嬉しいです。僕は就職にあたって、障害者か健常者かに関係なく、仕事上同じ目線で自分を見てくれる会社で働きたいと思っていました。その点で今の会社は、あくまで他の社員と同じように扱ってくれます。その中でも、どうしても身体的にできないことには配慮してくれます。本当にありがたく思っていますし、だからこそ僕自身も会社に貢献したいという意欲も出てきます。

(構成:J-CASTニュース編集部 青木正典)

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