韓国の政府関連機関が「コロナ後」の韓国旅行の需要がどう変化するかを探ろうと21か国・地域でオンライン調査を行ったところ、思わぬ形で観光地としての日本に対する期待感が表れた。
調査では「3年以内に最初に海外旅行に行きたい場所」について聞いており、最も多かったのが日本で、韓国は2位だった。特にアジア地域での人気の高さが際立った。
「Kコンテンツの世界的な人気が肯定的な影響」
調査は、文化体育観光省と韓国観光公社が行った「2021潜在訪韓旅行客調査」。「海外旅行の意向や経験に関係なく、主要訪韓国21か国に居住する満15歳以上の男女3万800人」に対して、21年7月と12月の2回にわたってオンラインで行われた。その結果が22年4月26日に発表された。
回答した人のうち、海外旅行の経験がある人は71.7%で、今後3年以内(24年まで)に海外旅行をする意向があると答えた人は72.8%にのぼった。この72.8%の人に「海外旅行のための前提条件」を聞いたところ、「訪問先が新型コロナの状況が安全だと思われるとき」(30.6%)、「WHOなど公的機関が新型コロナの終息宣言をするとき」(24.1%)といった回答が多かった。
回答した人のうち、韓国旅行をしたことがあるのは19.4%。3年以内に韓国旅行をする意向があると答えたのは47.0%だった。行きたい理由を聞いたところ、最も多かったのが「文化・体験など楽しめることが多いから」(15.1%)だった。「文化・体験」にはK-POPも含まれており、発表資料では
「BTS、イカゲームなど最近、Kコンテンツの世界的な人気が韓国を観光目的地として考慮するのに肯定的な影響を及ぼしたことが確認された」
と説明している。
「最初に行きたい場所」、唯一韓国が日本を上回ったのは...?
3年以内に海外旅行に行きたいと答えた人に「最初に行きたい場所」を聞いたところ、最も多かったのが日本で17.7%。韓国は9.0%で2位だった。シンガポール(5.9%)、タイ(5.2%)、米国(4.2%)が続いた。
日本以外の調査対象になった20か国・地域ごとの「最初に行きたい場所」ベスト3も発表されている。そのうち、日本を選んだ人が最も多かったのは中国、タイ、香港、マレーシア、シンガポール、インドネシア、台湾、フィリピン、米国の9か国・地域にのぼった。
特に台湾では57.3%、タイでは44.8%、香港では41.9%の人が日本を選んだ。韓国を選んだ人の割合は台湾が8.8%、タイが13.3%で、それぞれ日本に次いで2位。香港ではベスト3に入らなかった。21か国中、韓国が日本を上回ったのはベトナム(韓国28.2%、日本22.5%、シンガポール11.4%)だけだった。
調査報告書では、韓国について
「タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンなど主に東南アジア諸国で訪問希望順位が高く、安全な国と認識していることが分かった」
とする一方で、日本については
「アジア・中東だけでなく、欧米・大洋州居住者など全般的に訪問希望順位と安全国家としての肯定的な認識の程度が高く表れた」
と分析している。
日本政府は22年4月10日から1日あたりの新規入国者数の上限を1万人に引き上げたが、この中に観光客は含まれていない。岸田文雄首相は4月8日の記者会見で、観光客の受け入れ再開時期時期について「確定はしていない」と述べるにとどめている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)