一部のペットショップやブリーダーは、標準よりも小さなトイプードルを「ティーカッププードル」、柴犬を「豆柴」と称して販売している。この状況に、純粋犬種の犬籍登録、血統書の発行などで知られるジャパンケネルクラブが警鐘を鳴らした。
いったいどんな問題があるのか。J-CASTニュースは2022年4月28日、ジャパンケネルクラブに取材した。
小型化による「健康上の弊害も危惧」
ジャパンケネルクラブによれば、従来よりも小さな犬たちは、小さくて可愛らしい姿形や物珍しさから「静かな人気」を獲得しているという。コマーシャルやマンガなどで取り上げられたほか、著名人の飼育が話題となったことで、同会にもこれらの犬に関する問い合わせが相次いでいる。
そうした状況を受けて、ジャパンケネルクラブは11日、公式サイト上で「ティーカッププードル、豆柴について」と題した文書を公開した。ツイッターでも紹介され、注目を集めた。
文書によれば「ティーカッププードル」、「豆柴」という名称は、販売上の商品名に当たるもので、同会の血統証明書に表記される「犬種名」ではない。さらには、犬種の理想像を記した「スタンダード(犬種標準)」から逸脱しているため、犬としての健全性に欠ける場合があるとしている。
ジャパンケネルクラブの定めるスタンダード(犬種標準)は、犬種によって異なるものの、犬の健康・福祉、狩猟や牧畜など伝統的な作業を行うための能力への影響がないことを前提としている。そのうえで犬たちの繁殖能力の維持などを目的として、サイズ、毛色、骨格構成、歩様などの細かい項目を定めている。
この基準を逸脱するような小型化には、具体的にどのような心配があるのか。J-CASTニュースの取材に、同会は次のような懸念を露わにした。
「犬の場合、家畜同様に、標準サイズから小型化しようとする場合は、極めて高い頻度で近親繁殖を繰り返す(近交弱勢)こととなり、犬の個体の健全性を担保できなくなり、家庭内での骨折や体格的に分娩に適さない、ひ弱な体質になる等、矮小化に伴う健康上の弊害も危惧しております」
また、豆柴をめぐっては、日本犬の普及・発展に取り組む日本犬保存会も、「柴犬が持つ日本犬としての本来の姿を否定するもの」だとして、公認することはないと断じている。