指名されなかった記者が「メール質問」できる制度も危うい
これまでは「時間切れ」で指名されなかった場合でも、事務方にメールを送って文書で回答を得ることができた。この制度の運用も変化しつつある。この制度は、安倍政権下の20年に運用が始まり、その後の菅、岸田両政権でも継続されてきた。22年4月8日の会見では、会見を打ち切る際に司会役の内閣報道官が
「大変恐縮ですが、現在挙手いただいている方につきましては、後ほど1問、担当宛てにメールでお送りください。後日、書面にて回答させていただきます」
と発言していた。だが、4月26日は単に「それでは以上をもちまして、本日の記者会見を終了させていただきます。ご協力ありがとうございました」。文書回答に関するアナウンスはなかった。メールによる質問を申し込んだ社もあったが、官邸側は断った。
松野博一官房長官の4月27日の記者会見によると、4社から申し込みがあった。そのうちの1社が北海道新聞で、「今後、書面質問は受け付けないということなのか」という道新記者の質問に、松野氏は
「総理会見後の書面質問を受け付けるかどうかは記者会見の状況および業務の状況等を勘案して、その都度判断をしている。書面質問を受け付ける場合には、速やかに回答するよう努めているが、業務の状況等によって回答時期が遅れることもある」
と答えた。
3月の時点で前兆はあった。道新が3月20日に配信した記事によると、3月16日の記者会見前に、この日の会見ではメール質問を受け付けない旨を、官邸報道室が道新など3社に通告。このときは「会見終了時に抗議を受け、進行役の内閣広報官が一転して認めた」という。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)