立憲民主党は2022年4月27日、22年夏の参院選の公約のベースになる「重点政策」を発表した。ポスターと同じキャッチコピー「生活安全保障」を掲げ、「物価高と戦う」「教育の無償化」「着実な安全保障」の3本柱を打ち出す。
参院選は、「政策提案型」を掲げる泉健太代表にとって、代表として初めて臨む国政選挙。公約の全容は5月中に明らかになる見通しで、どんな形で枝野幸男前代表とは違う「泉カラー」が打ち出せるかが焦点だ。
金融緩和うたった政府・日銀共同声明「見直し検討するか問いたい」
泉氏はキャッチフレーズの「生活安全保障」について、
「安全保障というものを国家の立場だけではなく、生活の立場からも検証し、築き上げていくということを主眼に置いた」
などとして、従来の「国家安全保障」「経済安全保障」などに加えて「命(国民保護、法人保護等)」「人権、雇用、環境への配慮」「物価、衣食住等への影響」も含む概念だと説明している。
3本柱の最初に掲げた「物価高と戦う」では、21年衆院選向けの公約に続いて消費税率の時限的な5%への引き下げを提唱。「円安放置のアベノミクスから脱却」も主張した。具体的には、「物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする」ことと、その実現のために金融緩和の推進をうたった、13年の政府・日銀による共同声明に言及。「見直しについて政府、日銀は検討しているのか、我々は問うていきたい」とした。
直間比率は「見直しをしていくべき」
「教育の無償化」では、小中学校の給食費や高校・大学授業料の無償化、「児童手当の延長と所得制限撤廃」などをうたう。21年衆院選の公約では、国公立大の授業料引き下げ、私立大学生や専門学校生に対する給付型奨学金の拡大、児童手当の対象拡大と所得制限撤廃、「高校の授業料無償化について、所得制限を撤廃」「義務教育の学校給食を無償化」を提唱していたことと比べると、無償化の範囲は拡大傾向だ。
財源については、税収に占める所得税や法人税の割合が減少傾向にあるとして、
「(全税収に占める直接税と間接税の割合を示す)直間比率ということについても、見直しをしていくべきだと思っている。我が党のひとつの考え方としての応能負担という考え方、こういったものが我が党の今後の財源の作り方というところに現れてくる」
と述べ、所得税や法人税の引き上げでまかなう方向性を示唆した。
「日米拡大抑止協議」参加者の格上げを視野
「着実な安全保障」の項目では、中国の国防費増加やロシアの日本近海での活動の活発化、北朝鮮の核・ミサイル能力の向上を指摘した上で、
「新領域(サイバー・宇宙・電磁波)や情報戦など新たな分野に対応を」
「これまでの日米の役割分担を前提としつつ『日米拡大抑止協議』の活用を」
「尖閣を守る領域警備法を制定へ」
「防衛費は2%目標ありきでなく、あくまで必要な予算の積算で確保する」
の4つを柱に据えた。21年秋の参院選では、「平和を守るための現実的外交」の項目のひとつとして「日米同盟を基軸とした現実的な外交・安全保障政策」を掲げていたが、それが今回は格上げされたともとれる。
日米拡大抑止協議は、民主党政権時代の2010年に始まり、定期的に行われている。外務省ウェブサイトによると
「日米安全保障・防衛協力の一つとして、地域の安全保障情勢、日米同盟の防衛態勢、核及びミサイル防衛政策並びに軍備管理について意見交換した上で、日米同盟の抑止力を強化する方策について率直な議論を行い、相互理解を深める場」
だ。立憲としては、協議参加者の格上げや、回数の増加を念頭に置いている。
今回発表した内容は参院選の公約策定に向けた「最重点の位置づけ」。公約そのものは「連休明け、5月中」に発表する。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)