TIGER&BUNNYキャラデザは「全部丸投げ」 「半年かかりました」桂正和が明かした制作秘話

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   「電影少女」「I"s(アイズ)」などのヒット作で知られるマンガ家の桂正和さんの画業40周年を記念した企画展「40th Anniversasy 桂正和 ~キャラクターデザインの世界展~」が、2022年4月27日から5月8日まで東京・池袋サンシャインシティ文化会館ビルで開催されている。

   桂さんのマンガ作品やコラボイラスト、デザイナーとしての経歴も鑑賞できる企画展だ。4月26日には抽選で当選したファンに向け公開トークショーも行われ、桂さん自らこれまでの作品たちの制作秘話を語った。

  • 桂正和さん(4月26日撮影)
    桂正和さん(4月26日撮影)
  • 「桂正和 キャラクターデザインの世界展」で歴代作品のイラストが集結
    「桂正和 キャラクターデザインの世界展」で歴代作品のイラストが集結
  • 「黒色の世界」では「ZETMAN」などSFマンガのキャラクターが活躍
    「黒色の世界」では「ZETMAN」などSFマンガのキャラクターが活躍
  • えなこさんが着用した桂さんデザインの衣装
    えなこさんが着用した桂さんデザインの衣装
  • 画風の変遷も鑑賞できる
    画風の変遷も鑑賞できる
  • 「I
    「I"s」の制服衣装展示と伊織もえさん ©桂正和/集英社
  • 桂正和さん(4月26日撮影)
  • 「桂正和 キャラクターデザインの世界展」で歴代作品のイラストが集結
  • 「黒色の世界」では「ZETMAN」などSFマンガのキャラクターが活躍
  • えなこさんが着用した桂さんデザインの衣装
  • 画風の変遷も鑑賞できる
  • 「I

「ウイングマン」から「タイバニ2」まで 現実化した衣装も

   桂さんは1981年に週刊少年ジャンプの読み切り「転校生はヘンソウセイ!?」でデビューし、83年にSFマンガ「ウイングマン」で同誌連載デビューを果たす。SFと恋愛をミックスさせた「電影少女」(1989-1992)や恋愛マンガ「I"s」、SFマンガ「ZETMAN」をヒットさせ、以後はマンガ家と並行してキャラクターデザイン業やイラストレーターとしても活動中だ。

   本展はそんな桂さんの活動歴を「水色の世界」「黒色の世界」「緑色の世界」「白色の世界」「黄緑とピンク色の世界」の5つのテーマに分けて表現する。まず会場を入って最初の「水色の世界」では桂さんの作品に登場する美少女ヒロインたちのイラストが集結。「ウイングマン」から「電影少女」「I"s」最新の描きおろし短編に至るまで画風の推移も鑑賞できる。

   「黒色の世界」は恋愛ものと共に桂さんが得意としてきたSFマンガのヒーローたちがテーマ。「ZETMAN」「ウイングマン」などのイラストが来場者をひきつけ、桂さんが所蔵する「ウイングマン」ヘッドのグッズも展示されている。

   「緑色の世界」では桂さんが描いてきたキャラクター衣装が現実の衣装となって展示されている。「I"s」実写ドラマ(2018年)の制服や、コスプレイヤーのえなこさんの写真集のために桂さんが描き下ろした実際の衣装を展示。「I"s」の連載開始は1997年だが、「ミニスカートにニーソックスという組み合わせは『ジャンプ』誌上ではたぶん僕が初めて」と桂さんがトークショーで言及したデザインには「今でも『可愛い!』って思うしこういう制服の学校があったら入りたいです」と共演者も絶賛だった。

   続く「白色の世界」はコラボ作品の展示が中心になる。他の作家のマンガやドラマ、VTuber(宝鐘マリン)、グラビアアイドルやメジャーアイドルを桂さんが描いた作品が集まった。

   「黄緑のピンク色の世界」はアニメ「TIGER&BUNNY」にフォーカスする。8年ぶりの新作アニメが22年4月からNetflixにて配信中の本作で桂さんはキャラクター原案とデザインを担当。桂さんのデザイン画や原案イラストにより「タイバニ」の世界を味わえる。

「タイバニ」ワイルドタイガーに半年をかけた

   この「TIGER&BUNNY2」のデザインの制作秘話について、桂さんはトークショーで次のように語った。

「だいたいキャラクターのこういう感じっていうヒントだけはあるんですけど、好きなようにやってくれって感じで。性格とか大ざっぱに決まってはいたけどビジュアルに関しては全部丸投げで、1から全部想像していかないといけない。これがマンガの場合は自分で話を考えるんで既に人間像が頭に浮かんでいるので、デザインを起こす時にはそんなに頭を使ってないんです」

   このように、デザイナーとマンガ家としての発想の違いを話す桂さん。そして

「もう言ってしまおう(笑)『TIGER&BUNNY』の場合は、最初にワイルドタイガーをデザインした時は、これを基軸にしようと思ったんで半年かかりました」
「これだ!って出したらOKになっちゃうので、アメコミや日本の特撮ヒーローがある中で新しくやるものだし僕のマンガのどこともかぶらないようなデザインにしたかった。ある程度の落としどころでやめたくなかったんです。エポック的なものにしたかっただから時間がかかった」

   と明かす。

   「出来上がった瞬間先生が見たいです」とトークショーで共演した伊織もえさんに聞かれるも、「それでも不安でした」と心境を話していた。

   トークは桂さんのヒット作をめぐる様々な話題で推移したが、「電影少女」のヒロイン・天野アイを当初のプロットでは「消すつもりだった」と明かす。ビデオテープから登場した「ビデオガール」のアイだが、「消すつもりだったんですけど、ファンレターで『消さないで』っていうものが多かったんで、奇跡を起こしました。だから(アイが)人間になったやり方に無理があったんです」とのことだった。

「電影少女」の「眼」が与えた影響

   最近は怪談にも興味があるという桂さん。報道陣に自身の作画の特徴を聞かれ、「僕はSFが好きなんですが、現実感の中に不思議なものがあるのが面白さだと思う。怪談もそうなんだけど、日常の中で変なものが起こるから面白いんです。その日常を本当にできるだけリアルに皆見てもらいたいと思って、すごくリアルな絵になってきたんだろうと思います」と答えている。

   他にも桂さんの絵に現代のマンガが影響を受けているというのではという質問に

「そうじゃないのかなと思っていたんだけども評論家も誰もそう言ってこなくて...自分で言う程ではないかなと(笑)。例えば電影少女のマンガの眼は当時のマンガよりもにぎやかにしたくて線を加えてみたんですが自分で見てすごくクドく感じた。でもそれ以降皆がこれをやりだしたので(影響を与えちゃったのかなと)僕は思います」

   と答えていた。本展は5月8日まで池袋サンシャインシティで毎日10時から18時30分まで開催。一般入場券は1500円、特典付入場券は2000円にて販売中。

(聞き手・構成 J-CASTニュース編集部 大宮高史)

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