「いったん、しおりを挟みます。」
ビルの建て替えのため2022年5月8日に一時閉店する三省堂書店・神保町本店(東京都千代田区)。閉店を前に、4月25日から掲げている懸垂幕のメッセージが「粋なコピー」だとツイッター上で話題を呼んでいる。
「神保町のランドマーク」として多くの人に愛されてきた同店。言葉に込めた思いとは。
「素敵だ」「なんというセンス...」
三省堂書店は1881年に古書店として神保町で創業。現在の神保町本店のビルは、創業100周年を記念し1981年に建てられた。屋上に赤い「三省堂」のネオンが光る8階建てのビルは、学生街、古書店街として知られる神保町のランドマークだった。
しかし、築約40年を超えるビルは老朽化が進み、21年9月にビルの建て替えと書店の一時閉店が発表された。当時、ツイッター上では「うそでしょ」「衝撃的すぎて言葉ない」と話題になった。
店舗は22年3月下旬に閉店予定だったが、その後5月8日に延期。3月からは人気漫画「名探偵コナン」の主人公・江戸川コナンと「ONE PIECE(ワンピース)」の主人公・モンキー・D・ルフィが「神保町にありがとう」と感謝を告げる懸垂幕が掲出され、話題になった。
そして、閉店を直前に控えた4月25日から掲出されているのは、本に挟む「しおり」の形をした懸垂幕だ。幕には「いったん、しおりを挟みます。」と、同店の一時閉店を「しおり」に例えたコピーが記載されている。
掲出直後から幕の写真がツイッター上で拡散され、「素敵だ」「なんというセンス...」「粋なコピー」「カッコいい」と話題を呼んだ。
「『前向きな閉店』であることを伝えたかった」
懸垂幕の設置にかかわった三省堂書店の経営企画担当者は26日、J-CASTニュースの取材に「書店の閉店が相次ぐ中で、建て替えという『前向きな閉店』であることを伝えたかった。『一時閉店』という言葉より、本にまつわる『しおり』という言葉を使った方が、読書をされる方には分かりやすいと考えました」とメッセージの意図を説明する。
ツイッター上で多くの反響が集まっていることについては「お店が愛されていたんだなと感じる書き込みが多く、見ていて嬉しいです」と喜んだ。
懸垂幕は5月8日の閉店後、同月末まで掲出を続ける。また、4月25日からは店内で懸垂幕と同じデザインの「しおり」を数量限定で配布している。
6月1日からは250メートルほど南東に移動した場所で、仮店舗の営業を始める。売場は現店舗の3分の1程度になるが、担当者は「神保町に長年通うお客様に引き続きご利用いただける品揃えにしていきたい」としている。建て替え後の営業再開は25年を見込む。