「コロナ禍観戦」の不安も...
なぜ、客入りが戻らないのか。スポーツマーケティングなどを専門とする和光大学現代人間学部人間科学科の原田尚幸教授は22日、J-CASTニュースの取材に「コロナの感染状況が終息したとは言えない状況で、満員のスタジアムが安心・安全であるとはまだ考えにくく、もう少し様子を見てから判断するという人が一定数いるのではないか」と見解を示す。
実際に今シーズンの試合を何度か現地観戦し、観客の少なさを認識したという原田氏。野球観戦者の目線で、試合観戦時の懸念をこう指摘する。
「コロナ禍での観客制限時は両隣が1席空いていたので安心して観戦することができましたが、規制撤廃後は、同じチームのファンとはいえ、見ず知らずの人と隣同士で観戦することにまだ慣れていません。アルコールの販売も再開されましたが、少数ながら酔って大きな声援を送る人もいるため、不安を感じることがあります」
その一方、コロナ対策のため「声出し」応援ができず、「スタジアムの一体感」が損なわれていることも集客不調につながっているのではないか、と指摘する。
「現状では選手の応援歌やチャンステーマ、広島東洋カープの『スクワット応援』など独特の応援スタイルにも制約があり、コロナ以前のような雰囲気にはほど遠いのが現状です。スタジアムで応援するという醍醐味は失われたままであり、テレビまたはネットで観戦した方が安心だと考える人も少なくないと考えます」
04年の球界再編以降、パ・リーグの球場を中心に「ボールパーク化」が進み、試合以外でもファンを楽しませる仕掛けが充実した。原田氏は「地道な経営努力により、オールドファンに加えて女性ファンや家族連れなど新規ファンを開拓して、リピーター化に成功したことが毎年のように観客動員数を増やしてきた」と、コロナ以前のプロ野球人気を振り返る。
原田氏は観客動員がコロナ前まで戻るには「少なくとも2年程度はかかるのでは」としつつも、「以前のように制約なく応援できるようになれば、意外と早く客足は戻ってくるかもしれません」と見解を示す。
気兼ねなく声を出して野球を応援できる日は、いつになるだろうか。