新型コロナウイルスの水際対策の緩和が進み、海外旅行のハードルが下がったのもつかの間、新たなハードルが出てきそうだ。大手航空会社が導入している、国際線の旅客運賃に上乗せする燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)の問題だ。
新型コロナの感染拡大で人の動きが減り、航空機も減便されたことから石油の需要が減り、いったんは原油料価格が下落。サーチャージは20年6月発券分から3年半ぶりにゼロが続いていた。その後需要が回復し、原油価格が上昇に転じたことから21年6月発券分から復活。その後、22年2月のロシアによるウクライナ侵攻で原油価格がさらに上昇し、それが22年6~7月発券分から反映される。夏休みや9月のシルバーウィークの海外旅行の計画は5月中に立てておくのが賢明だと言えそうだ。
原油高と円安のダブルパンチ
日本航空(JAL)と全日空(ANA)の場合、サーチャージは「ケロシン」と呼ばれる航空燃料の原料がシンガポール市場で取引される価格をもとに決まる。2か月ごとに見直される仕組みで、例えば21年12~22年1月のケロシン市況価格は4~5月発券分のサーチャージに反映される。
21年12~22年1月の平均市況価格は1バレルあたり89.69ドル。これを1ドル114.32円で計算し、円では1万253円だった。これに対して、22年2~3月は1バレルあたり122.40ドルと大幅に値上がりした。1ドルは117.02円と円安が進み、円にすると1バレル1万4323円。2か月で4割近く上昇している。
この値上がり分を反映した6~7月分のサーチャージの金額が、4月19~20日にかけてJALとANAから発表された。
JALの日本発の片道の場合、韓国以外の東アジア路線は5200円から9900円、マレーシア・シンガポールなどの東南アジア路線が9800円から1万9600円、ハワイが1万2700円から2万3600円、北米・欧州が2万200円から3万6800円に値上げされる。多くの路線で倍近い値上がりだ。ANAも同様の水準だ。
6月以降発券ならLCCも有力な選択肢?
サーチャージは、マイルを使った特典航空券の場合でも支払う必要があるため、注意が必要だ。
ウクライナ侵攻の終わりが見通せない中、4~5月の市況価格が反映される8~9月発券分のサーチャージが大幅に下がるとも考えにくい。いかにして5月中に休みの予定が固められるかがカギになりそうだ。
ただ、ZIPAIR(ジップエア)のような国際線の格安航空会社(LCC)の場合、サーチャージは運賃に含まれており、燃油価格の上昇がすぐには反映されにくい。大手2社のサーチャージ値上げ後は、LCCも有力な選択肢になりそうだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)