プロボクシングの世界王座認定団体WBO(世界ボクシング機構)は2022年4月19日(日本時間20日)、英国リバプールで予定されていたWBO世界バンタム級タイトル戦(4月22日)のカード変更を発表した。
計量キャンセルは「失格とみなされてもおかしくはない」
当初、同級王者ジョンリル・カシメロ(フィリピン、32)が同級1位ポール・バトラー(英国、33)を相手に5度目の防衛戦を行う予定だったが、カシメロが英国ボクシング管理委員会の定める医療ガイドライン違反に該当する行為をしたため消滅した。
英国ボクシング管理委員会は、選手の健康管理の観点から試合直前に減量のためにサウナを使用することについて厳格な規定を設けており、カシメロはこれに抵触した。試合はカシメロの代わりに同級3位ジョナス・サルタン(フィリピン、30)がバトラーと対戦し、同級暫定王座決定戦として行われる。
カシメロ対バトラー戦がキャンセルとなったのは今回が2度目となる。両者は昨年12月にUAEのドバイで対戦する予定だったが、カシメロがウイルス性胃腸炎を理由に前日計量の会場に姿を現さず試合が中止に。WBOはカシメロ陣営の釈明を受けた上で王座をはく奪することをせず、タイトル戦を今回の日程で調整した。
カシメロ陣営が英国ボクシング管理委員会のルールを正確に把握していたかどうかは不明だが、協栄ジムの金平桂一郎会長(56)はJ-CASTニュース編集部の取材に対して「ボクシングは戦う国や地域によってルールが異なる場合がある。マネジャーはしっかりルールを確認しておくべきで、明らかにカシメロ陣営の失態です」と指摘し、次のように続けた。
「そもそもの話になってしまいますが、昨年の12月に計量会場に現れなかった時点でWBOは王座をはく奪すべきだった。胃腸炎を理由に計量をキャンセルしましたが、王者であるからには例え体重が作れなくても計量会場には来るべきだった。WBOのルール上は、王座はく奪にあたらないかもしれませんが、失格とみなされてもおかしくはなかったと思います」
WBOは48時間以内に事情説明求める
また、一方で金平会長はカシメロの代替として同郷のサルタンが暫定王座決定戦に出場することに疑問を投げかけた。
「興行的な側面でいえば、地元開催のバトラー陣営がタイトル戦にこだわるのは理解出来ます。ただ対戦相手がなぜサルタンなのか。そして選手の健康管理に厳格な管理委員会は、急きょ出場が決まったサルタンのコンディションを正確に把握しているのかという疑問が残ります。いずれにせよ被害者はバトラーで、是非とも試合で頑張ってほしいと願っています」
カシメロは、WBA、IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋、29)の対抗王者で、20年4月に米ラスベガスで井上との3団体王座統一戦が予定されていた。ところが新型コロナウイルスの感染拡大により試合が延期となりその後、両陣営の交渉がまとまらず王座統一戦は実現しなかった。
WBOは今回の騒動を受けてカシメロ陣営に対して48時間以内に事情を説明することを求めており、期限内に説明がない場合は王座はく奪の可能性がある。