2022年夏の参院選に向けて立憲民主党が野党各党に候補者調整を呼びかける中、野党間の分断がさらに進むことになりそうだ。日本維新の会と国民民主党は22年4月20日、京都選挙区(改選数2)と静岡選挙区(同)で、それぞれが推す候補を相互推薦すると発表した。京都は立憲の福山哲郎前幹事長の地盤で、これまでは主に自民、立憲、共産の3者で争う構図だった。維新は今回の参院選で京都に新顔の楠井祐子氏(54)を擁立。さらに情勢が厳しくなる中で国民民主が維新の側についたことで、立憲・国民民主の溝がさらに深まることになった。
一方で、維新は国民民主が予算案に賛成したことを批判しており、松井一郎代表は2月24日、国民民主が「与党的立場」を目指しているとして「与党になると言うなら、連携はできない」とまで述べていた。そんな中での協力は「野合」だとの指摘も出るが、記者会見した維新の馬場伸幸共同代表は「『崇高な目的を達成するための協力関係』という風に書いていただければ」と主張した。
国民民主は静岡の「維新比例票」取り込む狙い
今回の合意では、国民民主が京都で維新の候補を推薦する代わりに、維新は国民民主の会派「国民民主党・新緑風会」に所属し、無所属・現職の山崎真之輔氏(40)を推薦する。21年秋の衆院選では、国民民主が静岡県内で得た比例票は11万4343票だったのに対して、維新はそれよりも多い15万8381票だった。国民民主としては、この「維新票」を取り込みたい考え。
維新にとっては、国民民主の予算案賛成を批判したことと、今回の相互推薦との整合性が問われる事態だ。馬場氏は「野合」批判に対して、「野合」は「理念がないのに、選挙に勝つためだけに協力をしあうこと」だとして、
「今の日本の抱えている課題、そして解決していかなければならないいろんな難問、これを、やはり取り組んでいこうと...。そのために数がいる。それは、我々は野合とは呼ばない」 などと反論。
「『崇高な目的を達成するための協力関係』という風に書いていただければ」
と主張すると、会見場からは笑い声が漏れた。
ただ、馬場氏は国民民主の予算案賛成について
「かなり唐突感があって、何を目指しておられるのかよく分からない。今も、その気持ちを持っている」
などと述べ、改めて批判している。その上で、会見に同席した国民民主の前原誠司選対委員長とは国会改革を通じた行財政改革などについて長期間にわたって議論を続けてきたとして、
「協力できるところはやっていく、政策の信念、理念という部分でつながっている、という判断」
だとした。
馬場・前原両氏は、現時点では協力の対象を京都・静岡以外に広げる考えはないと説明している。