日本航空(JAL)などが出資する格安航空会社のジェットスター・ジャパンは2022年4月14日、現行のエアバスA320型機よりも大型のA321LR型機を7月から本格導入すると発表した。
コロナ禍が始まって2年が経ち、国内線の需要は回復が進んでいる。これを新機材の導入で取り込みたい考えだ。ただ、片岡優社長によると「コロナ以降、かなり路線によって格差が出てきている」。新機材は本拠地の成田と福岡や札幌(新千歳)を結ぶ高需要の路線に投入予定で、事実上撤退した地方路線の復活には慎重姿勢だ。
コロナ禍で若者が需要けん引、レジャー客の割合増える
片岡氏によると、3月の搭乗率は84%程度を記録し、「ピーク期間中においては非常に良い好調な状況に戻ってきている」といい、
「年末年始、春休みの状況を見ると、このゴールデンウィークの予約もかなり高いだろうと予測している。最終的には、我々が期待するような高い数字を維持できると考えている」
と期待を寄せた。
ただ、コロナ後は予約の傾向が大きく変化した。「間際の予約が多くなってきている」といい、具体的には、出発の1週間前に予約率50%だった便が、フライト当日に90%になることも「かなりある」。片岡氏は
「航空会社の立場からいくと、非常に状況が読みにくい。非常に苦労している、正直なところ」
とも明かした。感染状況が変化するため、乗客の側も先の予定が立てにくくなっていることが背景にあるとみられる。
客層も大きく変化した。片岡氏によると、若年層が需要をけん引する一方で「年齢層が高いお客様が出控えられているのでは」。コロナ前は、VFR(友人、親族訪問)、レジャー旅行、ビジネスの割合が40%、40%、20%の割合だったが、コロナ後はVFRとビジネス需要が減少し、レジャー需要が6割を占める。
「戻りが遅いのが地方路線」、撤退路線復活の可能性は
現時点でジェットスターはA320型機を19機運航。より多くの乗客を乗せられるA321の導入で、回復する需要を取り込みたい考え。A320は180席を備えるのに対して、A321LRは238席。32%増える。航続距離も6200キロから7400キロに伸びる。現行のA321(A321ceo)に比べて燃費効率も15%向上し、二酸化炭素(CO2)排出量を20%削減。塗料も3割軽くなった。デザインも一新し、尾翼をジェットスターのコーポレートカラーのオレンジで彩った。
6月中に初号機を受け取り、6月30日に周遊フライトを運航。7月1日から定期便に就航する。10月末までの夏ダイヤ期間は、1日6便(成田-福岡を1往復、成田-札幌(新千歳)を2往復)運航する。全3機の導入を予定。2号機は22年中、3号機は23年以降に運航を始める。
片岡氏は、
「コロナ以降、かなり路線によって格差が出てきている」
とも話す。新機材を投入する福岡や札幌線は需要の戻りが早い一方で、「戻りが遅いのが地方路線」とも明かした。ジェットスターは20年10月から、関西-福岡など6路線を運休。すでに国交省に廃止を届け出ており、事実上の撤退だ。片岡氏は
「当面は現状の路線を維持しながら最大の収入を得るような政策を取っていきたい」
と話し、これらの路線の復活には慎重姿勢だ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)