阪神がどん底から抜け出せない。2022年4月13日の中日戦(バンテリンドーム)でサヨナラ負けを喫し、引き分けを挟んで今季2度目の5連敗。開幕から16試合を終えて1勝14敗1分、勝率.067と惨憺たる状況だ。
「気になるのは阪神ベンチに活気がないこと」
「投打が全くかみ合っていない。特に最近は貧打が深刻です。ここ6試合はすべて3得点以下、そのうち5試合が1得点以下。これでは勝てない。気になるのは阪神ベンチに活気がないことです。まだ4月で120試合以上ペナントレースが残っているにもかかわらず、お通夜みたいな雰囲気になっている。コロナ禍で大声を出せないかもしれませんが、空元気でもいいからこういう苦しい状況だからこそ明るく前を向かないと、上昇気流に乗るきっかけがつかめない。このままだと他球団のボーナスステージになってしまいますよ」(スポーツ紙デスク)
泣きっ面に蜂の事態も起きた。藤浪晋太郎、伊藤将司、江越大賀が新型コロナウイルスの陽性判定を受けたことを、13日に球団が発表。馬場皐輔、山本泰寛も濃厚接触者の疑いがあるため、陽性判定の3選手とともに、「特例2022の対象選手」として出場選手登録を抹消された。
ただ、これは阪神だけが見舞われた悲劇ではない。DeNAは6日から10日にかけて球団内で18人の感染が確認された。この中には牧秀悟、桑原将志、山崎康晃、濱口遥大ら主力選手たちの名前が。楽天も開幕以降に則本昂大、ブセニッツ、ルーキーの安田悠馬、弓削隼人ら10人の感染が判明しているが、開幕11試合で8勝3敗と奮闘している。オリックスも7日からの5日間で宗佑磨、伏見寅威、佐野皓大ら12人が感染する非常事態となったため、12日から楽天生命パーク宮城で開催予定だった楽天―オリックス3連戦の中止が決まった。
得点力不足に苦しむ阪神だが、個々の選手の状態は決して悪くない。昨年の春先は絶不調だった近本光司は打率.297、出塁率.384と上々の滑り出しだ。プロ2年目で4番に抜擢された佐藤輝明も打率.277、3本塁打、8打点。変化球への対応力が高くなり、内角高めの直球もうまくさばけるようになってきた。佐藤の後の5番を打つ大山悠輔も打率.271、2本塁打、7打点。開幕から13試合連続出塁するなど鋭い打球を飛ばしていた。
塁上をにぎわすが、チャンスであと1本が出ない試合が続いている。借金がかさむ状態で、精神的に追い込まれているのかもしれない。打線を活気づかせるため、矢野燿大監督はどんな一手を打つか。(中町顕吾)