何もしない批判は意外と出来ない
こうした「検討=待ち」の姿勢は、筆者がかつて在職した財務省でしばしば見られる「たこつぼ戦略」といわれていた。叩かれても、塹壕にひきこもり、何もせずにひたすら耐えて、時間の過ぎるのを待つという戦略だ。これを行うとき、「雉も鳴かずば打たれまい」をキモに命じる。
それでも、岸田政権の支持率は高い。4月11日にNHKが報じた調査によれば、岸田政権の内閣支持率は先月と同じ53%だった。岸田政権発足後の昨年10月からの内閣支持率は、ほぼ50%以上をキープしている。
NHKが、内閣発足時から支持率を調査している小渕内閣以降の12の内閣で、6か月目の調査で支持率が50%を超えたのは、小泉内閣の71%、第2次(~4次)安倍内閣の57%、岸田内閣の53%の3つだけだ。小泉政権は5年5か月、第2次(~4次)安倍政権は7年9か月といずれも長期政権だった。
マスコミはなにか施策があれば、その批判はできるが、何もしない批判は意外と出来ない。岸田政権は「たこつぼ戦略」で何もしなくても高い支持率をキープしていると筆者はみている。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。