日本のテレビ番組「はじめてのおつかい」(日本テレビ系)が、世界を席巻している。
2022年3月から動画配信サービス「Netflix」(ネットフリックス)で配信が始まると、海外の視聴者からは「史上最高のショーだ!」「エピソードを追加してくれ」などと反響が続出。英国ではリメイク版の製作が決まったと報じられた。
「怪しげな日本のドキュメンタリーに頭を殴られた」
「はじめてのおつかい」は、幼児が生まれてはじめて1人で「おつかい」に行く様子を追ったバラエティー番組。幼児が戸惑いや恐怖を抱きながらも目的を達成し、成長する姿を伝えている。1991年に放送を開始し、基本的に冬と夏の年2回放送だ。
番組は22年3月31日からネットフリックスのラインアップに追加された。現在20のエピソードが公開され、1動画あたりの長さは10分~20分前後だ。英題は『Old Enough』。日本語に訳せば「もう大人さ」といったところか。
ネットフリックスの米公式ツイッターアカウントは4月12日に予告編動画を投稿し、番組を紹介。すると、海外ユーザーから英語で「大好きなんだよこれ!」「先週末はこれを夢中で見てたわ!」「史上最高のショーだ!」「エピソードを追加してくれ」などと、番組を支持する書き込みが相次いで寄せられた。
海外メディアも熱狂ぶりを取り上げている。
英大手紙のガーディアン電子版は現地時間7日、「公共交通機関に幼児を置き去りにする日本のテレビ番組」という見出しで番組を紹介。「ここ数日、Netflixを見た人は、怪しげな日本のドキュメンタリーに頭を殴られた可能性が圧倒的に高い」と視聴者に与えたインパクトの大きさに触れ、「様々な感情が入り乱れるジェットコースターのような作品」と評した。
また、「すべてのお出かけルートは、危険な道がないか、『不審者』がいないかどうかを、親や制作スタッフが点検し、チェックする」「近所の人たちにこの任務のことを知らせておく」と番組を作る人々の苦労を紹介。同紙は英国版のリメイクが決まったとも報じている。
「搾取的で危険」批判的な報道も
ただ、番組が手放しで称賛されているかというと、必ずしもそうではないようだ。
前出のガーディアン紙は「日本語の単語が漫画のように次々と画面に出てくる」「画面上のアクションには定型句のような笑いや拍手が添えられている」と、ストーリー以外の番組作りについて「不快に感じることもある」と評した。
また、英週刊誌「OK!」電子版は、番組を取り上げた11日の記事で児童心理学者のアリソン・マクリモント博士に取材。1人でおつかいに行かせるという内容について、マクリモント博士は「2歳児はトラウマになったり、ショックを受けたりするかもしれません」「これは搾取的で危険です。幼児の恐怖をテレビ番組の妥当な根拠とする人は聞いたことがありません。私はこのアイデアに強く反対です」と批判的な意見を述べている。
Old Enough is the most wholesome show you’ve ever seen — in this unscripted series, Japanese toddlers (ages 2-5) are sent on simple errands to help their parents and the results are just so pure.
— Netflix (@netflix) April 11, 2022
20 episodes are now on Netflix. pic.twitter.com/WpzopRA8ct