カミソリブランド「シック」で知られるシック・ジャパンが2022年4月9日から、広告などで「ムダ毛」表記を廃止した。
同社は12日、J-CASTニュースの取材に「時代とともに変化する『毛』に対する考え方に寄り添い、誰もが自由に自分のスタイルを表現できるようサポートすることが狙いです」と明かす。
「ムダ毛はケアすべき」というステレオタイプ
シック・ジャパン広報によれば、店頭販促物やウェブサイト、広告、SNSなどの発信で「ムダ毛」表記を取りやめる。日本独自の取り組み。
背景には、剃毛や脱毛をめぐる価値観の多様化がある。同社が21年1月に15歳~29歳の女性664人に行った調査では、「『ムダ毛はケアすべきもの』という固定観念が存在する」と答えたのは83.9%だった。一方、「ボディヘア有無は個人の自由であるべきだ」と回答したのは88.7%に上った。
SNS上では、体毛(ムダ毛)を揶揄する脱毛クリニックやケア商品などいわゆるコンプレックス商材の広告に対し、不快感を示す声は少なくない(参考:YouTube「外見蔑視」広告に抗議の署名運動 体形・体毛など漫画で...発起人「人を傷つけることにもなるとわかって」)。
また、男性の体毛処理(ボディグルーミング)に対する考え方も変化したためか、男性向け関連商品の市場規模は2021年までの3年間で約4倍に拡大したという。
「これまであたりまえとされてきた『無駄なヒゲは全部剃るもの』『男性なのに体毛を気にしてボディシェービングをするのはおかしい』『女性は体毛をケアすることが当たり前』『異性の目を気にして体毛を処理しなくてはならない』という考えを見直そうという価値観が広がってきているのではと考えております」(広報担当者)
生活者からは今回の施策に「確かに毛の処理は強制されるものじゃないよね」「ムダ毛なんてない」などと好意的な意見が寄せられているという。
カミソリを販売する貝印も20年8月、同様の考えに基づくキャンペーン「#剃るに自由を」を展開し話題となった。
処理されていない脇毛をアピールする女性のCGキャラクターを広告に起用し、「ムダかどうかは、自分で決める。ムダ毛を気にしない女の子もカッコいいし、ツルツルな男の子もステキだと思う」などと訴求した。
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)