ブロッコリーに「謎のぶつぶつ」...これって何? 農家も「初めて見た」激レア個体、その正体とは

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   変わったブロッコリーを発見したとして、その正体をツイッターで尋ねたユーザーが注目を集めている。そのブロッコリーの断面には空洞があり、内側には半透明のぶつぶつとした突起があったのだ。

   安全性に問題はないのだろうか――この疑問に、年間約190万株のブロッコリーを出荷する安井ファーム(石川県白山市)が答えた。

  • 空洞のあるブロッコリー
    空洞のあるブロッコリー
  • 茹でると白いつぶが膨らんだ
    茹でると白いつぶが膨らんだ
  • 空洞のあるブロッコリー
  • 茹でると白いつぶが膨らんだ

「植物組織なのでクチに入っても害はございません」

   空洞のあるブロッコリーを発見したツイッターユーザーのへいさんは、取材に対し次のように経緯を説明した。

   ブロッコリーを切ると、茎の上部にぽっかりと穴があった。内側には白の半透明でぶつぶつしたものが見られた。虫の卵ではないかと疑ったへいさん。空洞部分を捨て、他のブロッコリーの様子も確認した。すると、ほとんどのものが同じ状態だった。

   「こんなに虫の卵入ってるのか?!これも?!」と混乱したへいさんは、検索エンジンで似たようなブロッコリーを探した。しかし類似の事象は見られなかった。ぶつぶつのブロッコリーをさっと茹でてみると、白いつぶはぶよぶよと膨らんだ。

   一体これは何なのか。へいさんは2022年4月4日、「教えてブロッコリーに詳しい人」とツイッター上で助けを求めた。

   すると翌5日、安井ファームから次のようなリプライが寄せられた。

「ブロッコリー農家です。初めて見るものだったので専門家の方に話を聞いてまいりました。
『花茎空洞症によって空洞が発生し、この空洞を補うために発生したカルスではないか』とのことでした。
カルスというのはカサブタのようなもので、植物組織なのでクチに入っても害はございません」

   安井ファームは、初めて見る「大変珍しいレアッコリー」だと評した。助言を受けて、へいさんは「虫系じゃなくて良かった?!」と安堵。虫の卵だと疑っていた突起を、改めて触ってみるとブロッコリーの芯くらい硬かったという。空洞のあるブロッコリーは家族で食べたそうだ。

「つぶつぶがない部分を私は食べましたが普通に美味しかったです!
旦那は知らずにブロッコリー全部食べてました」

安井ファーム担当者「機会があったら食べてみたい」

   取材に対し、安井ファームのツイッター担当者は6日、複数の人々から連絡が寄せられたことで、へいさんの投稿に気づいたと明かす。投稿にはブロッコリーに対するネガティブな意見も多く寄せられていたため、生産者の立場として疑問に答えたいと感じたそうだ。

   そもそもブロッコリーには、どうして空洞ができるのか。担当者は次のよう述べる。

「ブロッコリーが急激に成長することで茎に穴があくことがあり、これを花茎空洞症と呼びます。窒素過多やホウ素の欠乏によっても引き起こされると考えられております。生理障害のひとつで病気ではないため、食べられます」

   今回話題となったブロッコリーについては、初めて見る状態で、石川県の石川農林総合事務所に意見を聞いたという。

「ツイートに『他の部分にも結構あって...』と書かれていたことから、ブロッコリーに何か神秘的なことが起こっているな、と感じました。仮にこれが食害だったとして、この規模のものが複数箇所にあれば外観が著しく損なわれるハズなので、そのセンはないだろうというところまではわかったのですが、それ以上具体的なことがわからなかったことから、専門家を訪ねることにいたしました」

   石川農林総合事務所は半透明のつぶについて「カルス」だと推察しているという。安井ファームのツイッター担当者によれば、「カルス」とはブロッコリーの細胞で、新しい細胞を作ることによって、空いた穴を埋めようとしているのではないかという。カルスは食べても人体に害はない。味については「おそれながら味につきましては食べた経験がないため言及できかねます。むしろ機会があったら食べてみたいです」とコメントした。

「今回の件でブロッコリーの奥深さを改めて再認識いたしました。まだまだわからないこともあるということで、今後もブロッコリー道を究めるべく精進いたします」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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