新庄剛志監督ことビッグボス率いる日本ハムがなかなか波に乗れない。開幕からここまで2勝10敗で最下位に沈んでいる。
開幕3連戦のソフトバンクに同一カード3連敗を喫すると、本拠地・札幌ドームでも西武に2連敗。3月31日の同戦で6-2と今季初白星を飾ったが、続くオリックスに今季2度目の同一カード3連敗を喫した。
得点力不足は「想定内の事態」
在京スポーツ紙デスクは、日本ハムの戦いぶりをこう分析する。
「投手陣は十分にやっていると思います。ドラフト8位右腕・北山亘基、高卒2年目左腕・根本悠楓、大卒3年目右腕・望月大希と将来が楽しみな若手が多い。
一方、打線はもう少し時間がかかるかなと感じます。万波中正、清宮幸太郎、今川優馬と楽しみな素材が多いですが、打撃は一朝一夕で結果を出せるほど甘くない。結果が出なくても我慢して使い続ける覚悟が首脳陣に必要でしょう。
ただ、これは想定内の事態です。昨年のシーズン途中に中田翔がトレードで巨人に電撃移籍し、オフに西川遥輝、大田泰示と主力の2選手も退団した。1軍での実績は少ないメンバーが大半の中、得点力不足を責めるのは酷だと思います」
開幕12試合で計22得点。5度の零封負けを喫するなど、1試合平均約1.8得点では白星をつかむのは厳しい。
レギュラーの白紙を公言しているビッグボスは打順を固定せず、毎試合のようにメンバーを入れ替えている。主力も例外ではない。昨年に侍ジャパンで東京五輪の金メダル監督に貢献した近藤健介も開幕戦は6番でスタートしたが、1番や2番、3番と様々な打順でスタメン起用されている。
日替わりスタメンに疑問の声も
かつてロッテの監督を務めたボビー・バレンタイン氏は対戦相手や選手の調子などに応じて毎試合打線を組み替えていた。
日本一に輝いた05年は公式戦、プレーオフ、日本シリーズの全147試合で組まれた打線は135通りに及んだ。ただ、当時ロッテを取材していたスポーツ紙記者は「ビッグボスの『日替わり打線』とは意味合いが違うと思います」と語る。
「当時のロッテは二遊間に西岡剛、小坂誠、堀幸一、捕手に里崎智也、橋本将と同じポジションにレベルの高い選手がそろっていた。現在の日本ハムは違います。競争は大事だが、スタメンで出たり出なかったりでは打席での感覚をつかみきれない。2軍ならこの起用法で良いと思いますが、1軍はある程度スタメンのメンバーを固定して使い続けないと若手は育たないと思います」
昨季1軍出場なしに終わった清宮が打撃フォームを改造し、3月26日のソフトバンク戦(PayPayドーム)で右翼席中段にド派手な今季初アーチを放つなど明るい材料も見られる。選手の能力を最大限引き出すために、打線をどのように構築するか。ビッグボスの手腕が問われる。(中町顕吾)