朝日新聞社は2022年4月7日、報道倫理に反する不適切な行為があったとして、編集委員の峯村健司氏を停職1か月の懲戒処分とすると発表した。編集委員の職も解く。
峯村氏は処分についてツイッターとnoteで反論。「今回の処分の不当性については法的にも明らかにしてまいりたいと思います」などと訴えている。
朝日新聞社「報道倫理についての指導を改めて徹底いたします」
峯村氏は外交や米国・中国を専門分野とし、担当した「LINEの個人情報管理問題のスクープと関連報道」で2021年度の新聞協会賞を受賞している。22年4月20日付で同社を退職することを公表しており、その後は青山学院大学国際政治経済学部客員教授、北海道大学公共政策学センターの上席研究員に就くという。
朝日の発表によると、峯村氏は「週刊ダイヤモンド」のインタビュー取材を受けた安倍晋三元首相から依頼を受け、同編集部の副編集長に公表前の紙面を見せるよう要求したという。
ダイヤモンド編集部から「編集権の侵害に相当する。威圧的な言動で社員に強い精神的ストレスをもたらした」との抗議があったことから、朝日新聞社が調査し発覚したとしている。
宮田喜好執行役員ゼネラルマネジャー兼東京本社編集局長は発表の中で、以下のようにコメントしている。
「編集委員の行為は、政治家と一体化してメディアに圧力をかけたと受け止められても仕方がなく、極めて不適切です。ダイヤモンド社と読者のみなさまに深くおわびします。取材対象との距離の取り方を誤り、読者からの信頼を揺るがす大変重い問題と受け止めています。報道倫理についての指導を改めて徹底いたします」
峯村氏は「恣意的な調査に基づく公平性に欠いたもの」と主張
峯村氏は7日のツイートで、処分について「恣意的な調査に基づく公平性に欠いたものです。今回の処分の不当性については法的にも明らかにしてまいりたいと思います」などと反論した。
noteでも「朝日新聞社による不公正な処分についての見解」と題した記事を同日に公開し、詳しい経緯を説明している。
記事では、自身の行動について「政治家の不祥事や批判記事に介入したわけではなく、ジャーナリストとして致命的な誤報を阻止しようと」したものだと主張し、
「(調査を行った)ゼネラルマネージャー補佐らは、私の説明について耳を傾けようとせず、当初から『処分ありき』の姿勢でした」
などと訴えている。
13日付で朝日新聞社から停職1カ月の処分を受けます。退職まで1週間を切った不当な措置で、恣意的な調査に基づく公平性に欠いたものです。今回の処分の不当性については法的にも明らかにしてまいりたいと思います。経緯と反論については以下のnoteに記させていただきました。https://t.co/a9Q0v4BKru
— 峯村 健司 / Kenji Minemura『潜入中国 厳戒現場に迫った特派員の2000日』重版御礼 (@kenji_minemura) April 6, 2022