「ムサシノ学生服」ブランドの制服が東京都内の中学校や高校などの入学式直前にも販売会社から届かないと、ツイッターなどで父母らから悲鳴が相次いでいる。
販売会社は、「納品に向けて急ぎ作業を進めております」と公式サイトで説明した。しかし、間に合わないケースも想定されることから、都教委では、私服などを認める対応をするよう各学校へ異例の依頼を行った。
「納品に向けて急ぎ作業を進めております」
東京都内の都立高校や市区町村立中学校では、2022年4月7日に入学式を行うところも多い。
ツイッター上では、4日ごろから、ムサシノ学生服に注文した制服がまだ届かないとの訴えが相次いだ。
ある投稿者は、都内の販売店舗などに何度電話しても、「製造が遅れている」などと説明されるだけで、一向に高校の制服が届かないと不満をぶつけた。学校にも保護者からの問い合わせが相次いでいるようで、入学式は中学校の制服で参加するよう言われたが、6日になって店に制服が届いたと連絡が来たという。
また、制服が届いたものの、なぜか注文とは違う大きなサイズが届き、安全ピンなどで対処すると明かした投稿者もいた。サイズが違うという訴えは、他にもあった。
ムサシノ学生服は、1944年に創業したムサシノ商店(東京都武蔵野市)のブランドで、公式ツイッターによると、東京都多摩地区を中心に320校超の制服を扱っている。
今回の騒ぎを受けて、ムサシノ商店は5日、「新入生納品に向けて」と題して公式サイトで次のように説明した。
「ただいま、新入生の納品に向けて急ぎ作業を進めております。いまだ制服が届かずご迷惑をおかけしているお客様には、ご心配ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが今しばらくお待ちください。又、各部署ともお電話が多く頂いたお電話に対応ができていない状態です。重ねてご迷惑をおかけして申し訳ございません」
都教委「中学校の制服や私服でもよい、などと学校に依頼」
都立高校などの状況について、都教委の高等学校教育課は4月6日、多摩地区を中心に60校以上がムサシノ商店と個別に契約しているとJ-CASTニュースの取材に説明した。
「入学式を7日に行うところが多く、一部は届いているという学校もありましたが、制服がなかなか届かない状況もあると聞いています。ムサシノ商店は、最大限努力して、6日中に届くようにするとの話でした。届かない場合も想定して、中学校の制服や私服でもよい、記念撮影は制服が全員そろったときまで延期する、など子供の立場に立った対応をするよう、こちらから各学校に依頼しました」
制服の納入が遅れている理由については、こう話した。
「こちらは、ムサシノ商店にまだ電話がつながっていませんが、つながった学校によると、制服を製造するメーカーからの納品が遅れている、新型コロナウイルス感染拡大の影響で生産量を増加できない、とのことでした」
中学校の状況について、武蔵野市教委の指導課は6日、7日に入学式がある4校でムサシノ学生服の制服を扱っているとして、こう説明した。
「4校が保護者とメールで連絡を取ったところ、制服が届いていないケースが9件ありました。うち2件は、その後届いたといい、1件は6日中に店で制服を引き取るとのことでした。残りの6件も、ムサシノ商店からは、6日中に自社便を使って届けるとの確認を取っています。届かないときのため、卒業生から寄贈を受けたリサイクルの制服を貸し出す手はずもすべて整いました」
東京商工リサーチの6日付ウェブ版記事によると、ムサシノ商店は、「経営に問題があるわけではない。お問い合わせが多く、電話がつながりにくいが、順次対応している」と説明した。同商店は、21年7月期は売上高17億6329万円、最終利益237万円をあげていた。
J-CASTニュースでは、ムサシノ商店に取材しようと何度か電話をかけたが、つながらなかった。公式サイトの問い合わせフォームからも、取材を申し込んでいる。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)