東京ディズニーランド(TDL)のアトラクション「蒸気船マークトウェイン号」の安全性をめぐり、SNSで心配の声が上がっている。着岸時に船と陸を繋ぐロープがぴんと張っており、万が一切れてしまうと、近くのスタッフらに勢いよくロープがぶつかるなどの事故につながる可能性があると指摘されている。
東京ディズニーリゾート(TDR)の運営会社「オリエンタルランド」は2022年4月4日、J-CASTニュースの取材に対し「今回ご心配をおかけしたことを踏まえまして、キャストの立ち位置等を見直しました」と答えた。
「スナップバック対策がなくてすごく怖い」
蒸気船マークトウェイン号は、475人が乗れる大型の船舶で、園内の「アメリカ河」で運行されている。
ツイッターで4月上旬、船を着岸する際のオペレーションに対し、「スナップバック対策がなくてすごく怖い」と心配する声が寄せられた。スナップバックとは、張力のかかった状態のロープが断ち切れた際に大きく跳ね返ってくる現象を指す。
疑問を呈したユーザーは、取材に対し、船と陸を繋ぐ係留ロープには張力がかかっているように見えたと述べる。スタッフは着岸作業後もロープのそばから離れなかったという。
国土交通省の外局・運輸安全委員会の公式サイトでは、国内で発生した船舶内作業に関連する重大死傷事故の調査事例を紹介している。2012年8月発行の運輸安全委員会ダイジェストによれば、係船索(係留ロープ)の取り扱いは他の船上作業に比べても潜在的な事故の危険性が高い作業であり、中でも最もシリアスな危険はスナップバックにあるという。
蒸気船マークトウェイン号において、スナップバックによる事故が起こる可能性はないのか。取材に対し、オリエンタルランドはこう述べる。
「係留しているロープに関しましては、強度計算を踏まえたものを用意しております。かつ毎朝、開演前に状態を確認していることから安全面には問題ないと考えております」
「キャストの立ち位置等を見直しました」
ただしオリエンタルランドは、SNSでの指摘を受けてオペレーションを見直したという。
「今回ご心配をおかけしたことを踏まえまして、キャストの立ち位置等を見直しました。係留ロープを渡した後は、係留ロープから離れることとさせていただきました」
このほか事故を防ぐ取り組みとしては、パーク施設の安全管理を行う専門部署を設けており、そこでゲストやキャストの安全推進活動を行っているなどと述べた。
先述の運輸安全委員会ダイジェストでは、係留ロープによる事故を防ぐため、次のように呼び掛けている。
「係離船業者は、自らが行う綱取り作業員に対する安全教育において、張力のかかった状態の係船索が破断したときのスナップバックの危険範囲の広がり状況を周知し、同係船索のそばで作業をしなければならない場合は、手早く作業してできる限り早くスナップバックの危険範囲から離れるなど、その範囲内での作業を極力避けるように指導することが望まれます」