サッカー・カタールワールドカップの組み合わせ抽選会が2022年4月2日未明(日本時間)に行われ、日本は強豪スペイン、ドイツと同じグループEに入った。W杯優勝を経験した2か国が名を連ね、スポーツ紙などで「死の組」だと報じられた。
しかし、識者は「客観的に見て死の国とは言えない」と話す。なぜなのか。
「起きたら死の組に入ってた」
グループEはスペイン(FIFAランク7位)、ドイツ(同12位)、日本(同23位)、コスタリカ(同31位)と対ニュージーランド(同101位)の大陸間プレーオフ勝者、という組み合わせになった。スペインは10年の南アフリカ大会、ドイツは14年のブラジル大会で優勝した強豪国だ。
98年フランス大会から6大会連続でW杯に出場し、うち3大会でベスト16入りした日本。E組入りが決定した直後、日本のメディアは「死の組」という言葉を用いて報じた。
日刊スポーツ「【W杯組み合わせ】日本『死の組』スペイン、ドイツ、大陸間PO勝者とのE組 11月21日開幕」
スポニチアネックス「W杯カタール大会 日本は『死の組』E組 スペイン、ドイツと同組 初戦は11・23ドイツ戦」
デイリースポーツ「日本代表は11・23ドイツと初戦 スペインとも同組の死の組 【1次L組み合わせ一覧】」
TBS NEWS「日本初戦の相手はドイツに決定 スペイン、北中米カリブ海VSオセアニアの勝者と同じ"死の組"グループE」
日本のツイッター上でも、グループEについて「めっちゃ死の組」「死の組過ぎる」「起きたら死の組に入ってた」などの投稿がみられた。
「日本にとっては『死の組』かもしれないですが...」
しかし、E組が「死の組」であるという認識について、サッカージャーナリストの石井紘人さんは4月4日、J-CASTニュースの取材にこう話す。
「一般的には、決勝トーナメントに行くであろうチームが3チーム~4チーム入っている組が『死の組』と呼ばれます。日本が入ったグループEは、日本にとっては『死の組』かもしれないですが、世界的に見ればスペインとドイツが決勝に行くであろうと思われている組です。客観的に見て、死の国とは言えない状況です」
過去のW杯、日本がグループリーグで大会優勝経験国と対戦したのは、98年フランス大会のアルゼンチン、06年ドイツ大会のブラジルの2回。優勝経験国と同一大会に2回対戦するケースは今大会が初であるため、石井さんは「どうしても『死の組』と言いたくなるのだろうなと思います」とファン心理、メディア心理を察した。
では、「死の組」とは具体的にどのような組を指すのか。石井さんが例示したのは、02年の日韓W杯のグループF(アルゼンチン、ナイジェリア、イングランド、スウェーデン)だ。いずれも当時、世界的な強豪国として知られていたが、アルゼンチン、ナイジェリアが敗退を余儀なくされた。
今大会に「死の組」は存在するのか。石井さんは、EURO(UEFA欧州選手権)2020王者のイタリアが出場していないことや、各組に強豪国がばらけたこともあり「世界的にインパクトのある死の組はないのでは」と分析する。ただ、18年ロシア大会準優勝のクロアチア、同大会3位のベルギー、北中米カリブ海予選を1位で勝ち上がってきたカナダが同居するグループFが「強いて挙げるならば『死の組』といえるのではないか」とした。