固定観念を覆し、考え方を変える
1人暮らしをする中で、みなさんからすると些細なこと、当たり前にやっていることでも、僕は苦労することが多いです。片手ということで、日常動作のほとんどに工夫が必要だと日々感じます。
でも逆に言うと、工夫すればできるようになることも多いです。最初は「難しい」と思うことばかりだったけど、その固定観念を覆し、考え方を変えることによって、自分なりの新たなやり方が見えてくることが多かったです。
とはいえ、もちろん何でもできるようになったわけではありません。3段階に分かれます。(1)最初から少し考えてできたこと(2)最初はできなかったけど、やり方を工夫してできるようになったこと(3)やり方を工夫してもできなかったこと――の3つです。今回の話で言うと、掃除機は(1)、洗濯は(2)、電球の交換は(3)といった具合です。試行錯誤すればできることがある一方、現実的にどうしてもできないこともある、と分かりました。
まずやってみることが大事で、できなくても「すぐやめる」のではなく、「なぜできないのか」を考え、角度を変えて再トライしてみる。何度か考えてやってもできないなら、諦めたほうがいいこともあるかもしれない。そういう考え方は昔からあったけど、この体になってから一層強くなりました。
そうやっていろんなことができるようになっているのは、間違いなく1人暮らしのおかげです。だから今、1人暮らしして良かったと思っています。両手両足あって実家にいた頃、身の回りのことが1人では何もできなかった。いざ手足3本なくなってからの1人暮らしは、周りから「絶対できないよ」と思われていた中、自立を目標に始めたチャレンジでした。できないと思われる自分が悔しかったんです。
僕は片手で自分なりにチャレンジし、できることが増えていくことで、新しい自分に気づくことができています。みなさんの中にも、「できない」という固定観念があってチャレンジしていないだけで、やってみると意外とできることがあるんじゃないかな。そんなことを、僕の姿を通して感じてもらいたいです。
(構成:J-CASTニュース編集部 青木正典)