手足3本失った僕が「1人暮らしして良かった」と思う理由 片手の家事、工夫凝らして得た気づき

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ゴミ出しのためだけに義足の支度をすることも

   地味に困っているのはゴミ捨てです。僕は家の中では車いすで過ごし、外出する時は両足に義足を履きます。仕事の日は朝に義足を履くので、出勤時にゴミを出せます。

   ただ、新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが増えると、外出の機会自体が減りました。テレワークの日がゴミの日だと、ゴミ出しのためだけに15分くらいかけて義足の支度をしないといけません。みなさんだったらパッとサンダルを履いて出しに行けると思うけど、僕にはそれができません。

   ゴミをまとめるのも手間がかかって、ゴミ袋を縛るのに左手と口を使っています。それに限らず、実は日常いろんなことに口を使います。食品にラップをかける時もそう。腕時計も、つける時は手だけど、外すときは口です。僕には右手はないけど、口はある。ないものはないので、あるものでどうするか、ということはよく考えるようになりました。

   スーパーなどでの買い物も、自分なりのスタイルがあります。片手で持てる量には限界があるので、会社帰りや出かけたついでの買い物では、持っているエコバッグやその日のカバンに入る量しか買いません。それとは別に、休日にまとめ買いする時はリュックを背負って行きます。

   最初はまとめ買いの時も全部袋に入れ、片手で持って帰っていました。10キロの米を持ち帰ったことがありますが、指が千切れそうでしたね。「これ以上何かなくなったらやばいな」と思いました(笑)。

   それ以来リュックを使うようにしています。最高で15キロ分くらいの荷物を詰めたことがあります。リュックだと、片手に比べれば多少重くても苦ではないんです。義足で歩くのも慣れてきているので、重心が崩れることもない。「宅配を使えばいいじゃん」と言われたらそれまでかもしれないけど、僕はスーパーで安い商品を狙って買いたいので、利用していないんです。

   他に、風呂に関してはほぼシャワーだけで済ませていますが、浴槽に入りたい時もあります。浴室では義足も車いすも使えないので、自力で体を持ち上げないといけません。「怖いな」とは思ったけど、やってみたら意外と最初から入浴できました。掃除も、掃除機は片手で扱えるからできましたね。

   家のことで今でもできないのは、電球の交換です。車いすでは天井に届かないし、仮に義足を履いたとしても高いところに上るのは難しいです。エアコンにも届かなくて、フィルター掃除ができない。窓拭きもそうです。だから、友達や兄が来てくれた時などにこうした作業をやってもらっています。誰かの力を借りないといけません。

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