ゼレンスキー氏演説の対日要求、なぜソフトだった? ウクライナ駐日大使「9条は認識している」

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   ウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使が2022年4月1日午前、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見した。現時点の戦況について解説するとともに、ゼレンスキー大統領が3月23日夕にオンラインで行った国会演説についても言及した。

   ゼレンスキー氏は米国や英国、イスラエルの演説では直接的な軍事的支援を求めたのに対して、日本向けの演説では、機能不全に陥った国連安保理に代わる安全保障体制の発展に向けた「日本のリーダーシップ」を求めた。コルスンスキー氏は、演説の言葉は「非常に慎重に選ばれている」との見方を示した。さらに憲法9条を含めて「日本の政治的環境、とりわけ人々の戦争に対する姿勢についても考慮している」と述べた。

  • 日本記者クラブで記者会見するウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使(写真は日本記者クラブの動画から)
    日本記者クラブで記者会見するウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使(写真は日本記者クラブの動画から)
  • 日本記者クラブで記者会見するウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使(写真は日本記者クラブの動画から)

演説では「日本の政治的環境、とりわけ人々の戦争に対する姿勢についても考慮」

   ゼレンスキー氏の国会演説では、既存の安全保障体制が機能していないとして「新たなツールを作る必要がある」と指摘した上で、「その発展には日本のリーダーシップが不可欠」だと述べていた。直接的な軍事支援を求める発言がなかったため、他国に比べて日本に対する要求はソフトだったと受け止める向きも多かった。

   このことを念頭に、コルスンスキー氏の記者会見では

「日本に対して、あまり高い要求の球を投げなかったのはなぜなのか。それは日本が憲法上の制約で軍事支援などが難しいということをウクライナ側で認識した結果なのか」

という質問が出た。

   コルスンスキー氏は、

「確実に言えることは、演説の準備をする際には受け手が置かれている文化、法律、政治的な環境をすべて理解した上で演説を準備しなければならない」

と一般論を述べた上で次のように話し、日本による軍事的支援は困難だという事情を認識した上での演説だったとの見方を示した。

「そのため、私の見立てでは、演説で使われた言葉は非常に慎重に選ばれている。もちろん、(憲法)9条については認識している。日本の政治的環境、とりわけ人々の戦争に対する姿勢についても考慮している。これは明らかだ」

今でもロシアが安保理の一員なのは「理解できない」

   演説の「日本のリーダーシップが不可欠」という部分に関連して「日本にどのような具体的な役割を期待しているか」という問いも出た。

   コルスンスキー氏は、日本の立ち位置について

「日本は世界の超大国のひとつであり、非常に重要だ。だからこそ、『戦後』、とりわけウクライナの復興に向けて日本がリーダーシップを取っていただきたい、ということだ。日本は国際金融機関、きわめて重要な立場を保っている」

などと説明した上で、安保理をはじめとする枠組みの機能不全を改めて主張。その上で次のように訴えた。

「私の目からすれば、ロシアはあれほど残酷な侵略を行ったにもかかわらず、いまだに安保理の一員であることが理解できない。これは変えるべきだ。ただ、どのモデルにすべきかについて、非常に難しい議論をしなければならないだろう。さまざまな考えがあると思う。いずれにせよ、国際安全保障のアーキテクチャ(構造)を見直していくべきだ」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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