大ヒット漫画「タコピーの原罪」は何が注目されたのか ツイッター分析から読み解く

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   タイザン5(ふぁいぶ)さんによる短期連載「タコピーの原罪」が2022年3月25日、完結した。

   同作は、地球にハッピーを広めるため降り立ったハッピー星人「タコピー」と、複雑な家庭環境や学校でのいじめに苛まれる子供たちとの交流を描いたヒューマンドラマ。2021年12月10日に集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+」で連載を開始し、人気を博した。総閲覧数は22年3月28日現在までに8000万ページビューを超える。

   ツイッターではどんな点が注目を集めたのか。(※以下、ネタバレを含みます。)

  • 「少年ジャンプ+」で連載中の「タコピーの原罪」(タイザン5さんのツイートより)
    「少年ジャンプ+」で連載中の「タコピーの原罪」(タイザン5さんのツイートより)
  • 「タコピーの原罪」を含むツイート数(リツイートを除く)
    「タコピーの原罪」を含むツイート数(リツイートを除く)
  • 「少年ジャンプ+」で連載中の「タコピーの原罪」(タイザン5さんのツイートより)
  • 「タコピーの原罪」を含むツイート数(リツイートを除く)

注目を集めたのは第4話

   「タコピーの原罪」は、タコピーと笑わない少女・しずかちゃんが出会う場面からはじまる。無垢で楽観的なタコピーは、子どもたちを笑顔にするために様々な「ハッピー道具」を持ち出す。しかし子供たちの抱える問題は深刻で、話数を重ねるごとに事態は泥沼化していく。ツイッターでは、その救いのない展開に注目が集まった。

   J-CASTニュースはSNS分析ツール「ソーシャルインサイト」で、「タコピーの原罪」を含むツイート数の推移を調べた。(リツイートは除く、2月25日以前のツイート数はサンプリング値)

   その結果、同作で最初に大きな注目が集まったのは21年12月31日0時に公開された第4話だった。タコピーがしずかちゃんをいじめる同級生・まりなちゃんを誤って殺してしまった回だ。最終ページではタイトルの「タコピーの原罪」という文字が画面いっぱいに描かれた。

   前3話までの公開日のツイート数は5000件に満たなかったが、第4話の公開日のツイート数は約1万4000件に跳ね上がった。深夜1時には「タコピーの原罪」が日本のツイッタートレンドの10位に浮上している。

   一緒にツイートされた形容詞は頻出順に「やばい」「面白い」「おもろい」「すごい」「重い」「怖い」。デフォルメな絵柄で深刻な展開を描くというギャップに驚く声も多く、ツイッターには「大晦日に読むんじゃなかったよ。面白いけど」「絵の可愛さと内容の重さとのギャップがすんごい」といった声が相次いだ。

漫画の演出に唸る声

   4話以降、更新日のツイート数は約1万件台を推移。続いて大きな注目を集めたのは22年2月18日に更新された第11話だった。物語が大きく動く回で、ツイート数は約1万8000件と突出している。

   第11話では、しずかちゃんが別居する実父に会いに行った。しかし実父には別の家庭があり、二人の子供を連れていた。この際、しずかちゃんの視点で描かれる世界観と、父親の視点で描かれたものは大きく異なっていた。例えばしずかちゃんから見た実父の住まいはタワーマンションのように描かれていたが、実父の視点で描かれたしずかちゃんの背後には普遍的なマンションの風景が広がっていた。ツイッターでは、これまで描かれてきた世界観はタコピーやしずかちゃんの主観を交えたものではないかという考察が盛り上がった。

   さらにこの回ではタコピーが、しずかちゃんと出会うよりも前に、未来でまりなちゃんと出会っていたことが明らかになった。これまではタコピーがしずかちゃんを助ける物語であるかのように描かれていたため、多くの読者が衝撃を受けた。また、まりなちゃんがタコピーと出会うシーンは、1話のしずかちゃんがタコピーに出会ったシーンの構図と酷似しており、この演出の意図を探る声も多い。

   そのうえで「タコピーの原罪、あまりにも漫画が上手すぎない!?!?」「どんでん返しがうますぎるな」などと、漫画の演出に唸る声が広がった。

   同日深夜1時の日本のツイッタートレンドは、1位が「タコピー」、7位が「まりなちゃん」、9位が「しずかちゃん」となっている。

最終話はどのように受け止められたのか?

    最終回である第16話は22年3月25日に更新された。タコピーが自らの存在と引き換えに「ハッピー力」で時間を巻き戻し、しずかちゃんとまりなちゃんが対話によって和解した様子が描かれた。

   この日の同作に関するツイート数は、約1万4000件だった。最終回は読者にどのように受け止められたのか。

   ソーシャルインサイトでツイートのポジネガ分析を行うと、ポジティブが19.74パーセントで、ネガティブの2.92パーセントを大きく上回った。検索サービス「Yahoo!リアルタイム検索」の感情分析でも、ポジティブが53パーセント、ネガティブが47パーセントとおおむね肯定的に受け取られているようだ。

   深夜1時の日本のツイッタートレンドは、1位が「タコピー」、4位が「まりなちゃん」、6位が「ハッピーエンド」、10位が「タイザン5」だった。一緒にツイートされた形容詞は頻出順に「面白い」「良い」「よい」「重い」「すごい」「素晴らしい」だった。まりなちゃんとしずかちゃんの仲直りを喜ばしく受け止める声や、完結を祝うファンアートなどが投稿された。

   また、この日は漫画の展開だけでなく、アプリ「ジャンプ+」の動作に対して「重い」という声も多かった。最終回は一日で300万ページビューを達成。少年ジャンプ+編集長の細野修平さんはツイッターで、ジャンプ+で更新日に300万ページビューを超えた作品は初めてだとコメントした。

   副編集長の中路さんは次のようにツイートした。

「初連載のタイザン5先生と若い編集者のコンビで去年12月から始まり3ヶ月と少しという短い期間で走り抜け、ここまで大きな話題となった『タコピーの原罪』。これまでになかった反響とその広がり方に終始驚かされ通しでした。新しい連載マンガの在り方だと思います」
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