ロシアのウクライナ侵攻を機にロシアと国境を接する国々へ注目が集まる中、駐日ジョージア大使館が2022年3月29日、日本国内での報道について「腑に落ちない思い」をツイッターで訴えている。
ロシアがジョージアに駐留している部隊の一部をウクライナに移動させた可能性を報じる記事について、「ジョージアの領土の一部がロシアによって占領されている」という前提が明示的に書かれておらず、大方の読者は「内容を飲み込むためにある程度のプロセスを要する」という指摘だ。こういったことが起きるのは、ロシアと周辺諸国の関係に関する日本での「距離感のレベル」が影響しているとして、メディアにも協力を求めている。
「占領」が明示的に書かれていないと「内容を飲み込むためにある程度のプロセスを要する」
ツイートでは、ウクライナ情勢に関連して08年のジョージア・ロシア戦争について報道される機会が出てきたとして、「ジョージアがロシアによる侵略を受けた国としての前例という点で、この報道は有意義」だと評価している。一方で、
「報道に占領に関する直接的な言及が無い場合が多く、しばしば腑に落ちない思いがあります」
とも訴えている。その一例として紹介されたのが
「ロシア、ウクライナにジョージア駐留部隊投入か」
と題して配信された記事だ。ツイートでは明言されていないが、3月26日に日経電子版に掲載された記事だとみられる。この記事は、米国防総省高官が
「ロシア軍が隣国ジョージアの親ロシア派地域に駐留する部隊のうち『一部の部隊が移動していることを確認している』と述べ、ウクライナへ派遣する兆候があることを明らかにした」
と報じている。
記事では
「同国(編注:ジョージア)からの分離独立を親ロ派勢力が主張する南オセチアとアブハジアに、ロシアは現在も軍を駐留している」
とあるが、大使館のツイートによると、
「『ジョージアの領土の一部がロシアによって占領されている』という事実」
が書かれていないため、
「大方は内容を飲み込むためにある程度のプロセスを要するだろうと考えます」
として、読者にとって不親切な記事になっていることを訴えた。