メトロでは駅や時間帯で柔軟に対応
従来のように駅ごとにメロディーを変えること自体は可能である。鉄道ライターの枝久保達也さんは「技術的には車両の走行位置に応じてメロディーを変えることは可能ですが、今改正の導入線区は乗客も少なく、そこまでのコストをかける必要がないとなったのでしょう」と考える。一方で
「常磐線各駅停車では全駅で発車メロディーを流すことをやめ、乗務員の裁量に任せています。メロディーが駆け込み乗車や騒音の一因という考え方もありますので、JRも発車メロディーの在り方を考え直そうとしているかもしれません」
という背景も考えられる。
ワンマン化の推進はドライバレス運転実現を目指すJR東日本の既定路線で、都心部の通勤線区でも進む見込みだ。
今後2025年から30年にかけて山手線・京浜東北線・根岸線・横浜線・南武線・常磐線各駅停車などでワンマン化のための準備工事を進めると明らかにしている(2021年12月7日JR東日本発表より)。これらの線区にもJRオリジナルの汎用曲に加えてご当地メロディーが採用されている。川崎駅南武線ホームの「川崎市歌」アレンジ、横浜DeNAベイスターズにちなんだ関内駅の「熱き星たちよ」、蒲田駅の「蒲田行進曲」などが使われてきて、地域のシンボルにもなっている。
東京都心でワンマン化済の東京メトロ丸ノ内線・南北線は駅ごとにメロディーを変え、また時間帯や状況によって楽曲を変えている。「東京メトロでは車両と駅のシステムを連動させて、発車サイン音の扱いを柔軟に変えています」(枝久保さん)。ダイヤ乱れ時には駅ごとのメロディーを使わず、車載の乗降促進サイン音のみを操作して停車時間の節約も可能にしている。