「小学校の前で記念写真を撮りたいです」
当時の写真を振り返っても、金田さんがランドセルを背負った写真は1枚もなかった。成長してからも店などでランドセルを見かけると「ランドセルだ、赤いなぁ、いいなぁ」と寂しく感じるという。
「今、別にお金がないわけじゃないんだし、自分でお店に行って買えばいいじゃん」と思われることは承知しつつ「恥ずかしいですし、今まだそんなことを何十年も経っても気に病んでるのはおかしいんじゃないの、って思われるかなぁ」と踏み出す勇気が持てずにいるという。
石田さんの「もし赤いランドセル背負えたら、何かしたいことありますか?」との質問には「小学校の前で記念写真を撮りたいです」と夢を語った。
女性と石田さんがランドセル売り場を訪れると、売り場に女の子の泣き声が響いた。泣いていたのは、黒縁メガネをかけたおかっぱ頭の女の子。背中には、黒いランドセルを背負っている。
女性が心配そうに「どしたん?」と声をかけると、女の子は「おばあちゃんにランドセルを買ってもらったけど、本当は赤がよかったの」と泣きながら答えた。女性は、涙を浮かべて女の子を励ました。
「わかるよ、その気持ち。6年も使うんだもんね...赤いランドセルに替えよう。なんでも買ってあげるから、好きなの選びな」
泣いていた女の子は子役のエキストラだとして、石田さんが「普段は何色のランドセル背負ってるの?」と尋ねると、女の子は「みどり」と回答。女性は、泣き笑いを浮かべつつ「わがままでもなんでも、言えるような機会があったらよかったですよね」と切ない表情を浮かべた。
その後、ランドセル売り場の店員のアドバイスを受け、女性は念願の赤いランドセルを購入した。