牛丼チェーンの吉野家(東京都中央区)が2022年3月24日、漫画作品「魁!!男塾」とのコラボ特典「お名前入りオリジナル丼」をめぐって、「お客様に多大なるご迷惑をおかけしました」と公式サイトで謝罪した。
名入れに関して条件を周知していなかったにも関わらず、特典を獲得した段階で閲覧できるウェブページ上で「本名に限定する」としたことで利用者の間で物議を醸していた。
特典獲得後に発覚で客ら騒然
吉野家は24日、アプリで実施しているポイントサービス「魁!!吉野家塾」の特典とする名入り丼について、
「キャンペーンサイトでは明記がなかったにも関わらず、名入り丼の特典を獲得した方が閲覧できる名入り丼特典先配送入力フォームで名前を本名に限定する旨の条件を付し、お客様に多大なるご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」
と公式サイトで謝罪した。今後の対応について、
「名入れする名前に関して社内で再度協議した結果、(1)第三者の誹謗中傷にあたる言葉、(2)社会通念上、不適切と考えられる言葉、(3)著作権、商標権等、第三者の知的財産権等の侵害に該当する言葉を除き、本名に限定することなく名入れすることを可能といたしました」
と変更を伝えた。そのうえで「第三者への譲渡や売買は固くお断りいたします」と訴えている。申し込み済の客には個別に連絡をするという。
なお同企画は21年7月15日から22年3月31日まで実施され、来店回数に応じて特典を配布している。1日につき1回、税込み300円以上の支払いで「1米礼(マイル)」のポイントが貯まる。毎月29日のみポイント2倍。
名入り丼は「220米礼」で獲得できる特典のため、店に足繁く通う必要がある。
丼をめぐってツイッターでは2月ごろから、任意の名前を記名できるものと認識していた客らから、特典の獲得後に記入する「名入り丼特典先配送入力フォーム」上で条件を提示されたとして問題視するような声がにわかにあがっていた。
実際のウェブページを確認すると、名入れは「特典を受け取ったご本人様のお名前に限ります。下欄の入力フォーム『姓』『名』にご入力いただいた内容で製作いたします」とし、
「家族、友人等第三者、キャラクター、タレント、ニックネームなどは使用できませんので予めご了承ください」
などと記載されている。
「本名の名入れを前提と考えておりました」
ツイッターでは、企画の実施にあたって事前にお客様相談室へ問い合わせを行い、名入れに関して「任意のお名前で結構です」などという回答を受けたとする投稿もみられた。
事実関係について吉野家(東京都中央区)の広報は3月24日、J-CASTニュースの取材に対し、
「お客様相談室へ名入り丼に関する名前の質問があった場合、第三者に対する譲渡が発生し得ない名前を記載することについての質問であったため『任意の名前で良い』と複数名へ回答しました」
と認めた。続けて本名に限るという条件付けを行った経緯について、
「しかしながら、名前に関して精査を進める中で第三者の権利侵害にあたる名前を入れるべきではないため、本名の規定を特典先配送入力フォームのように定めました」
と伝える。その後、問い合わせがあった客らに改めて修正した案内をしたというが「一部のお客様には連絡が届かない状況にありました」とする。
公式サイトなどで条件の周知を行わなかった理由を尋ねたところ、
「吉野家塾の特典ページ内よくある質問内に第三者への譲渡禁止の旨、記載しており、ご本人様の本名の名入れを前提と考えておりました」
という。しかし「著名人の名前での申し込みなど著作権侵害の恐れが懸念される事態が複数生じました」といい、広報は「伝わりづらい表現であったことをお詫び申し上げます」と詫びた。
名入り丼の配布はこれから行われる。