2020東京五輪の競泳男子背泳ぎで2つの金メダルを獲得したロシアのエフゲニー・リロフ(25)が、英国の大手水着メーカー・スピード社から契約を解除されたと、2022年3月23日までに複数の海外メディアが報じた。
ロシア軍支援に20万人以上が参加
ロシアの日刊全国紙「コメルサント」(WEB版)によると、リロフは3月18日にモスクワで開催されたクリミア併合8周年を記念した集会に出席。同集会ではプーチン大統領の演説が行われ、ロシア軍を支援するために20万人以上が参加したという。
英メディア「inside the games」は、リロフがプーチン大統領のウクライナ侵攻への支持を示すためにモスクワでの集会に出席した後、スピード社はリロフとのスポンサー契約を終了したと伝えた。
同メディアによると、リロフは「Z」マークが入った上着を着用し、体操、スキー、フィギュアスケートのメダリストらと共にプーチン大統領が演説する直前にステージに登場したという。
リロフの上着に記された「Z」のマークは、ウクライナに軍事侵攻しているロシア軍の戦車や軍用車などがシンボルとして使用しているもので、登壇したアスリートの上着にはそれぞれ「Z」マークが入っていた。
体操界でも「Z」マークが物議
アスリートの「Z」マークを巡っては、3月5日にドーハで行われた体操の種目別ワールドカップ(W杯)でも物議をかもした。
男子平行棒で銅メダルを獲得したロシアのイワン・クリアクが「Z」マークが入ったユニフォームで表彰式に出席。優勝したウクライナのイリア・コフトゥンと並んでメダルを授与した。
クリアクの行動に対して政治的なメッセージが込められているとの批判が相次ぎ、国際体操連盟(FIG)は3月6日にクリアクの懲戒手続きを開始するよう体操倫理財団に求めることを発表した。
なお、米メディア「CNN」によると、スピード社はリロフへの未払いスポンサー契約料を国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に寄付するという。