国際チェス連盟(FIDE)は2022年3月21日、ロシアのチェスプレイヤーでグランドマスターのセルゲイ・カヤキン(32)に6カ月間の資格停止処分を科したことを発表した。
同連盟は公式サイトで声明文を公開し、カヤキンのSNSでの発言が倫理規定に違反し、チェス競技の評判を落としたとして懲戒委員会が満場一致でカヤキンの処分を決定したとしている。
ロシアの利益守るために支持
カヤキンの処分について複数のロシアメディアが報じており、日刊全国紙「コメルサント」(WEB版)は、カヤキンがSNSを通じてロシアによるウクライナへの軍事侵攻を支持したことで22年に開催される最も重要なトーナメントに出場できなくなったと伝えた。
記事によると、カヤキンはこれまでにSNSで、ロシアの利益を守るためにプーチン大統領を全面的に支持することを表明したという。
また、カヤキンの処分を報じたロシア・スポーツメディア「SPORT24」(WEB版)は、カヤキンに加えて、体操選手のイワン・クリアク(ロシア)についての残念なニュースがまもなく届くかもしれないと伝えた。
同メディアは、3月5日にドーハで行われた体操種目別ワールドカップ(W杯)に出場したクリアクが、表彰式で「Z」マークが入ったユニフォームを着用したことにより1年間の出場禁止になる可能性を指摘した。
「Z」マークのユニフォームが物議
クリアクは種目別W杯の男子平行棒で銅メダルを獲得し、表彰式に胸の部分に「Z」のマークが入ったユニフォーム姿で登場して物議をかもした。
「Z」マークはロシアでは勝利を意味するとされ、ウクライナを侵攻するロシア軍の戦車や軍用車の側面に描かれているため政治的なメッセージが込められている可能性があるとして非難が相次いだ。
国際体操連盟(FIG)は、クリアクが「Z」マーク入りのユニフォームで登壇したことを「衝撃的な行動」とし、3月6日にクリアクの懲戒手続きを開始するよう体操倫理財団に求めることを発表した。
一方でロシア代表チームのヘッドコーチはロシア通信社「RIAノーボスチ」の取材に対して、大会中にロシアの選手がウクライナのコーチから挑発や侮辱を受けたと主張している。