新型コロナウイルス対応の日本政府による水際対策が2022年3月1日に緩和され、5月の大型連休や夏休みの海外旅行に向けたハードルが下がってきた。
「コロナ前」は日本人観光客が多かった中国、台湾、韓国などは厳しい水際対策が続くが、観光客の受け入れを再開し、ワクチン接種を前提に入国後の隔離の必要がなくなった国も増えている。現時点ではどういった渡航先が現実的なのか。
滞在先でPCR検査のスケジュールを組み込む必要性
3月に緩和された日本の水際対策では、「水際対策上特に対応すべき変異株等に対する指定国・地域」を経由したか否か、ワクチンの接種が3回完了しているか否か、で4パターンの運用が行われている。
(1)「指定国・地域」を経由し、3回接種の証明書がない場合は、検疫所の宿泊施設で3日間の待機が必要だ。(2)「指定国・地域」を経由し、証明書がある場合は7日間の自宅待機が必要。ただ、3日目以降にPCR検査を受けて陰性の結果を提出し、受理されれば、その時点で待機は終了だ。(3)「指定国・地域」を経由せず、証明書がない場合も(2)と同じだ。(4)「指定国・地域」を経由せず、証明書がある場合は、自宅待機をする必要はない。(2)~(3)の場合、入国時の検査から24時間以内に移動し、最短距離に限って、公共交通機関で移動できるようになった。
「指定国・地域」のリストは頻繁に更新されており、現時点での最新は3月16日版。「イラン、インドネシア、エジプト、韓国、サウジアラビア、シンガポール、スリランカ、トルコ、ネパール、パキスタン、ベトナム、ミャンマー、モンゴル、ロシア全土」の14か国・地域だ。
上記に加えて、滞在先で出国前72時間以内にPCR検査を受け、その陰性証明書を帰国便の搭乗手続きで見せる必要がある。検査をして結果を受け取る段取りを、滞在先のスケジュールに組み込んでおくことが必要だ。さらに、日本政府は「原則として厚生労働省の所定フォーマットを利用」することを求めている。検査機関が日本政府フォーマットに対応しているかどうかも確認すべきポイントだ。
一方、「コロナ前」に日本人が多く渡航してきた国や地域のうち、現時点で入国時の隔離が必要ないのは米国、カナダ、フランス、ドイツ、オーストラリア、アラブ首長国連邦(UAE)、フィリピン、ベトナムなど。ただ、こういった国々は、日本でチェックインの際に英文での陰性証明やワクチンの接種証明を求めている場合がほとんどだ。
マレーシアは4月、ニュージーランドは5月から観光客受け入れ再開
マレーシアは4月1日、ニュージーランドは5月2日からワクチン接種を前提に観光客の受け入れを再開する。 タイは到着1日目に宿泊施設内にとどまり、PCR検査を受ける必要がある。陰性の結果が出ればタイ国内での行動ができるようになる。
英国は3月18日から、ワクチンを接種していない人へ出発前と入国後に検査を撤廃することを発表。事実上の全面撤廃だ。
ただ、水際対策が大幅に緩和されていても、外務省は多くの国に対して4段階ある「感染症危険情報」のうち、2番目に高い段階の「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」を出している。行楽シーズンまでに、この「危険情報」のレベルがどのように変化するかも焦点になりそうだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)