立憲民主党の泉健太代表は2022年3月18日の定例会見で、ウクライナのゼレンスキー大統領が国会でのオンライン演説を申し入れていることについて「国会演説の前に『首脳会談・共同声明』が絶対条件」だとツイートしたことをめぐり、「私自身の思いを投稿させていただいた」と説明した。
さらに、「自分の思いがあったからと言って、それが全部実現するわけではない。全部実現しないときに反対をするかといえば、それはそういうことではない」とも述べ、反対しない考えを示した。ツイートをめぐっては、演説に慎重姿勢だと批判が相次いでいた。
「国会演説の前に『首脳会談・共同声明』が絶対条件」
泉氏のツイートは、3月16日に投稿された。ウクライナ政府が日本政府に国会演説を打診したことを伝える記事を引用しながら、
「他国指導者の国会演説は影響が大きいだけに、オンライン技術論で論ずるのは危険。私は日本の国民と国益を守りたい。だから国会演説の前に『首脳会談・共同声明』が絶対条件だ。演説内容もあくまで両国合意の範囲にすべき。それが当然だ」
と主張する内容だ。
翌3月17日のツイートでは、演説に否定的なトーンから一転。「自民・立憲が実施の方向で調整」の見出しがついた記事を引用しながら、
「私の昨日の投稿も、実施が前提の投稿。自民党と立憲民主党は、記事の通り『実施』の方向で調整を進めています。立憲民主党が反対している事実もないし、事前の必要な調整を『慎重』と色分けするのはおかしい。必要な調整は必要です」
と説明していた。
泉氏は記者会見で、ツイートについて「私自身の思いを投稿させていただいた」と説明。国会演説は、基本的には首脳会談・共同声明と「セットとして行われてきている」とした上で、投稿の趣旨について
「大統領と岸田総理が事前に電話会談して、そういう中で流れとしては、できれば声明も出してもらいたいし、その後の行動として国会演説をセットしてもらいたいという思い」
だったと話した。その上で、
「当然、自分の思いがあったからと言って、それが全部実現するわけではない。全部実現しないときに反対をするかといえば、それはそういうことではない」
とも話した。
「政府の中でも整理検討をするということは間違いなくやっていると思う」とも。岸田文雄首相とゼレンスキー大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて2月28日、3月4日の2回にわたって電話首脳会談を開いている。このことを念頭に
「新たに(首脳会談を)行う必要性はないという整理をするのであれば、それは一つの整理の結果だと思っている。そういうことをしっかりと政府として考えていただきたい、ということの趣旨だ」
とも話し、必ずしも新たに電話首脳会談を行う必要はないとの見方を示した。
「一つ一つの国会演説というのは重たいものであるし、慎重であるべきもの」
泉氏は3月16日のツイートで、国益についても言及している。演説によって失われうる国益について問われると、
「明示的に『今回の場合の』というよりも、私はこの日本の国権の最高機関での演説というものは、非常に重たいものだと思っている」
として、一般論を投稿したと説明。過去には他国からの演説要請を断ったケースもあるとして、次のように話した。
「やはり一つ一つの国会演説というのは重たいものであるし、慎重であるべきものであるということ、これは私はあると思う。国会演説というのはそれなりに...かなり重たいものだ」
ゼレンスキー大統領のオンライン演説をめぐっては、国会議事堂の本会議場にスクリーンを持ち込む方法や、すでに設備が整っている議員会館を使用する案などが検討されている。泉氏は「本会議場でないとなれば、様々な制約はさらに少なくなる」とも話した。
「演説内容もあくまで両国合意の範囲にすべき」の意図については、
「オンラインで映像を流せるから、全く調整なく認めるというのはあり得ないと思う」
「一般論として、どの国の元首・首脳が国会で演説する場合においても、それは当然、外交上のやりとりがあって、そういうものの中から演説原稿というものが作られてくるものだろうと認識をしているので、そういう趣旨のことを書かせていただいた」
と説明した。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)