2022年3月16日23時36分ごろ、宮城県と福島県で最大震度6強の地震を観測し、東京電力管内で約209万軒が一時停電した。
直後に東電側がツイッターで停電の理由として挙げたのが「UFR自動動作」だ。突然出てきた技術用語に戸惑う声も相次いだが、東電は続くツイートで、送電システムを守るための仕組みが作動したことを改めて説明した。停電は深夜3時前には、ほぼ復旧した。
電力を消費する側を一時的に送電網から切り離す
経済産業省の発表によると、地震の影響で東北電力の原町火力発電所(福島県南相馬市)1号機など、計11基の火力発電が一時停止した。その中には、東京電力管内に電気を送るJERAが運営する広野火力発電所(福島県広野町)の5号機、6号機も含まれる。
電気の供給では、「周波数」を一定に保つ必要があり、それが乱れると機器が壊れたり、大停電につながったり危険がある。周波数を一定に保つためには、電気の需要と供給を一致させる必要があるが、今回の地震のように発電所が停止すると供給力が減少し、周波数が低下する危険がある。そのため、電気を消費する側(需要)を一時的に送電網から切り離して周波数の低下を防ぐ仕組みが備わっている。この仕組みは、「周波数低下リレー」(UFR)と呼ばれている。
「電力システム全体を保護する装置である周波数低下リレー」
今回の地震では、東電管内で約209万軒が停電。発電所が停止して供給が減少し、UFRが作動したのが原因だとみられる。
東電管内で配送電を担う東京電力パワーグリッドは、日付が変わった直後の3月17日0時7分、停電の経緯について
「現在、UFR自動動作により停電が発生しています」
とツイートし、5600回以上リツイート(拡散)された。ただ、技術用語が突然登場したこともあり、引用リツイートや返信欄で、仕組みや過去の事例について補足する人も相次いだ。
東電側も説明の必要性を感じたとみられ、0時36分には「需要と供給のバランスと周波数の関係」や、UFRの仕組みについて説明する東電ウェブサイト内のページを紹介した。復旧状況を説明する2時7分のツイートでは、
「電力システム全体を保護する装置である周波数低下リレーが自動動作したことで停電が発生しておりますが」
と説明を追加し、2時45分頃には復旧する見通しを伝えている。実際に復旧したのは2時52分だった。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)