2021年10月にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開幕したドバイ万博は、22年3月末の会期末まで、およそ半月になった。万博には日本を含む192か国が参加。その中で入場が難しいパビリオンのひとつが、日本館だ。
万博で人気なのは、開催地のUAE館、サウジアラビア館、ドイツ館など。これらのパビリオンの前には長蛇の列ができるが、日本館の様子は少し違っていた。
入場者数は非公開で「あまり数にはこだわっていない」
日本館のテーマは「アイディアの出会い」。入口ではスマートフォンが配られ、自分の分身(アバター)にあたる花が割り当てられる。22年3月上旬に現地を訪れた記者の場合は「アヤメ」だった。イヤホンで説明を聞きながら、映像で日本の文化を紹介する「日本との出会い」をはじめ、「出会いの歴史としての文化」「現代日本のテクノロジー」「私たちの今と課題」「アイディアの出会い」の5つのコーナーをめぐる。最後の「アイディアの出会い」では、中央に地球が浮かぶ360度の全周型シアターに入場者が集合。自分のアバターがスクリーンに映し出され、自分の動きに合わせてアバターも動く仕組みだ。この展示には、行動変容によって「よりよい地球の未来に向けて共に動き始める」ことができるというメッセージが込められており、入場者からは拍手も起こっていた。この5つのコーナーの後には、2025年の大阪・関西万博をPRする「いのち輝く未来社会のデザイン」のコーナーがある。この内容を、30人程度のグループで1時間程度かけて観覧する。
日本館の入場者数は非公開。広報担当者によると、コロナ禍で「密」を避ける意味もあり「あまり数にこだわっているわけではない」という。大半のパビリオンの開館時間は10~22時で、日本館の場合、1時間に3回ツアーが行われる。そこから推計すると、1日に入場できるのは1200~1300人程度だとみられる。
待ち時間が長くなりすぎたため、22年1月から「スマートキュー」と呼ばれるシステムによる事前予約がないと訪問できないシステムになっている。それでも予約は取りにくい状況で、記者が現地訪問した際も、予約なしで日本館に現れ、見学を断念する人が相次いでいた。
展示内容の複雑さや回転の速さなどが異なるため、単純に比較はできないが、韓国館は3月10日、累計の入場者数が90万人を突破したことを発表。1日あたり5600人程度だ。
「スシロー」もハラル対応で出店
日本館の敷地内には回転寿司チェーン「スシロー」も出店。メニューは約120点で、すべてイスラム法上で食べることを許されている食品「ハラル」に対応している。92席を備えているが、記者が最初に訪問した日曜日の14時には7時間待ちの大人気。月曜日午前中に再び訪れると、10分ほどで店内のテーブルにつくことができた。
万博はコロナ禍の影響で開催が1年間延期され、会期は21年10月1月から22年3月31日まで。「コロナ前」の19年時点では、主催者は2500万人の入場を見込んでいたが、閉幕まで1か月を残した22年2月末時点の入場者数は約1600万人にとどまっている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)