「強い自分」が「弱い自分」を助けるために戦う
―― MVは、栃木県内で撮影したと聞きました。メイキング動画を拝見しましたが(編注:取材時はMV完成前だった)、林さん、おりの中に閉じ込められていましたね。
林: 弱い自分と強い自分がいて、強い自分が弱い自分を助けるために戦っている、というのがコンセプトです。おりの中に入っている「弱い自分」が助けを求めて、「強い自分」がアクションをして自分を取り返す、といったストーリーです。撮影現場の寒さで息も白くなって、本当に「助けて!」という感じが一層強くなって、とてもいい感じに仕上がりました。
―― 寒さ以外に苦労したことはありますか。
林: ダンスも結構激しくて大変でした。
須田: ダンス大変でした。
―― 振付は、大阪府立登美丘高校の「バブリーダンス」で知られるakaneさんが担当しました。
熊崎: 今まで筋肉痛になったことがないところが痛くなるくらい、本当に休むところなんてどこにもない、それぐらい激しいダンスです。とにかく動きが速くて、最初は「理解はしていても体が追いつかない」状態でした。ですが、みんなしっかり覚えて撮影し、全体の映像を見ると、全員が広がって花のように咲いているような動きが本当に美しかったです。見ていてうれしくなりました。
―― 激しい中にも妖精のような動きを...といったところでしょうか。
熊崎: 本当に美しい振り付けなので、指の先まで気を使って踊らないと台無しになってしまいます。先生がグループに分かれて動きを合わせるように指導してくださったり、みんなで話し合って揃えたりすることもできたので、すごく勉強になりました。少しバレエのようなところもありますね。
須田: バレエのような伸びやかな振り付けもあるので、そういう繊細な動きにも注目していただきたいです。普段、バリバリ元気に踊っていることが多いSKE48で、繊細でラインが綺麗に見えるような動きには慣れてないメンバーが多いので、そこの見せ方は苦労しました。
林: 私は「がつがつ踊る系」がすごく好きで、どちらかと言えば激しい踊りが自分には合っていると思っています。今回の曲は綺麗な部分もあれば、激しい部分もあって、いろいろなダンスが組み合わさっているので苦労しました。でも、いろいろなバリエーションのダンスができて楽しかったです。
―― 今回のダンスは「『でら』フラワーダンス」だそうですね。手を花のように回転させる「デフラワー」という技と、名古屋弁で「すごい」を意味する「でら」をかけたとか...。
林: (動きを見せながら)めっちゃ難しいんです、これ。クラスの子に教えたんですけど、本当に結構難しくて大変でしたね。
須田: 私、できてるかわからない...(苦笑)
―― 須田さんはメイキング動画で「30(歳)なので正直、めちゃくちゃしんどい」と話していましたね。
須田: すごく体力的にもしんどくて、最初のレッスンが終わった後、涙が出るほど体が痛くて...。もうみんなについていくには、こんなにも体が痛い思いをしないとSKE48でいられないんだと思ったら、すごくやるせなかったです。それくらい本当に激しいダンスです。みんなで食らいついていきましたね。「SKE48に合っているダンス」というよりは「SKE48を、もう1段階上のステージに連れていってもらうためのダンス」、作品だと思います。
―― まだまだ頑張れる感じですね。
須田: はい。運命に身を任せて、私はやれることをやるだけです。
―― MVでは、殺陣のようなアクションシーンが印象的です。
林: 私はソロでやらせていただきました。休憩を挟みながら3時間やっていましたが、本当に腕が筋肉痛になっちゃって...。銃もかなり重くて、それで敵を殴るシーンでは申し訳ない気持ちになりました。緩めにやっていたら「もっと強く」と言われて、「ごめんなさいっ!」という気持ちでケツバットしてました。(笑)
熊崎: 私は銃を持って、とにかく襲い掛かってくる敵をバッサバッサと倒し、最終的に体を反って「マトリックス」のように乱射する役でした。
―― 須田さんは軟体を生かしてハイキックをしたと聞きました。
須田: 元々は私アクションシーンをやる予定はありませんでしたが、撮影当日に「やっぱりやろうか」と言われて...。「体の柔らかさを生かした回し蹴りやってみよう」となって、その時点では、その1シーンだけだったのですが、「こんなに足上がるんだったら...」と、さらに技が追加されました。新境地を開いていただいた撮影でした。みんなMVではバリバリ戦っていますが、アクションシーンは未経験の子が多いので、それでもここまでできている、というところは注目していただきたいです。普段の激しいダンスで身体能力があるからこそ、だと思います。