新幹線券売機で挫折する人の心理 何が難しい?話題ツイートが浮き彫りにした「3つの課題」

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   ツイートまとめサービスTogetter(トゥギャッター)を運営しているスタッフがTwitterで注目された話題を厳選し、考察するコラムの第42回をお送りします。今回のテーマは「きっぷの自動券売機の話が再び盛り上がった理由」です。

Togetter社が解説する「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」<出張版>

   先日、新幹線の指定席券売機できっぷを買う際に「つまずきやすいポイント」はどこだろうか?と問いかけるツイートが話題になりました。この投稿が起点となって作られたTogetterのまとめは20万以上のページビュー(PV)を記録。Twitter上での議論にとどまらず様々な意見が集まりました。

<駅のタッチパネル券売機で、一般の人が躓くところはどこにあるのかという疑問に対して様々な意見 - Togetter>

  • きっぷの券売機は分かりづらい?(画像はイメージ)
    きっぷの券売機は分かりづらい?(画像はイメージ)
  • 値段を選択するタイプの自動券売機(画像はイメージ)
    値段を選択するタイプの自動券売機(画像はイメージ)
  • きっぷの券売機は分かりづらい?(画像はイメージ)
  • 値段を選択するタイプの自動券売機(画像はイメージ)

自動券売機は購入手順がわかりにくい?

   つまずきポイントとして挙げられていたのは、「券売機に表示されているメニューのうち、最初に何を選択したらいいのかわからない」「いきなり指定席と自由席は選べない」といった点でした。

   こうしたユーザー側の不満が生まれる背景には、きっぷを「買う側」と「売る側」の意識の違いが隠されている、とみることもできそうです。

   鉄道の自動券売機のユーザーインターフェース(UI)は過去にも話題になっています。2017年には、行き先ではなく料金を選んできっぷを買う券売機について、「どこに行きたいの?じゃなくて、お前いくら出せんの?って選ばせ方してくる」という疑問を訴えたユーザーのツイートが大きく拡散。共感の声が集まっていました。

   きっぷの券売機には、最初に「今いる駅から目的地までの料金」を選ぶ仕組みのものがあります。その場合、画面に表示される金額別のボタンを選ぶにはあらかじめ路線図などに表示されている料金を把握している必要があり、利用者に負担をかけていると言えそうです。

<冷静に考えると券売機が「どこ行きたいの?」じゃなくて「お前いくら出せんの?」という聞き方をしてくるのはおかしくね? - Togetter>

利用者がつまずきやすい3つのポイント

   Twitterでユーザーから指摘されていたきっぷの自動券売機の「つまずきポイント」をまとめてみまると、以下の3つに集約されます。

(1)購入までのフローが利用者寄りではない

   新幹線の指定席券売機では最初に「きっぷの種類をお選びください」という画面が表示されます。しかし、自由席・指定席といった座席の種類は「どこからどこまで行くのか」を入力してから決めたい人がほとんどではないでしょうか。

   このように利用者の想定するきっぷ購入の選択フローと券売機の手順に食い違いが発生してしまっている点が、最初のつまずきを生むポイントと言えます。

(2)きっぷを買う側と売る側の目的のズレ

   利用者がきっぷを買うのは「目的地へ行くための手段」ですが、自動券売機は「きっぷを売ること」をゴールとする仕組み。券売機で目的地よりも料金が先に表示される理由はここにありそうです。このギャップも利用者にわかりづらさを感じさせてしまいますね。

(3)初期画面の表記が伝わりにくい

   実は新幹線の指定席券売機では、初期画面に表示されている「乗換案内から購入」ボタンを選択すると発着駅や時刻からきっぷを購入できます。「目的地や発車時刻からきっぷを選びたい」という利用者の希望に沿う機能ですが、ボタンの説明ではそのことが理解しづらいようです。せっかく便利な機能があるのに、利用者に気づかれていないのはもったいないですね。

ネットでのきっぷ購入もハードルが高い

   新幹線などのきっぷはインターネットでも購入できます。しかし、JR東日本が運営する「えきねっと」や東海道・山陽新幹線の「スマートEX」といったウェブサービスからの購入も難しいと感じる人がいるようです。

   鉄道は航空機やバスなどほかの公共交通機関と比べて座席やきっぷの種類が多いこともあり、サイトのUIや購入フローがどうしても複雑に。インターネット歴が長いというユーザーでも「挫折した」という話が注目されたこともありました。

   また、JRできっぷを買う際の最後の砦と言えるのが有人窓口「みどりの窓口」。駅員さんと対面でやりとりしながらきっぷを購入できますが、人件費カットや駅窓口のサービス縮小に伴い、25年までに全体の7割程度を閉鎖する方針が発表されています。

   実際に「みどりの窓口」が閉鎖した新潟県の越後湯沢駅で自動券売機に多くの人が並んでいる様子がツイートされ、大きな注目を集めていました。こういった状況で券売機の操作につまずく人が多いと、混乱が発生することもあるんですね。

「きっぷ」の概念が薄れつつある?

   新幹線の指定席券売機の話題をめぐっては、「特急券や乗車券などの違いがわからない」という意見も多く寄せられていました。これは新幹線に乗り慣れていないという理由のほかに、SuicaやPasmoなどの交通系ICカードが定着してきっぷそのものに触れる機会が減っていることも原因ではないでしょうか。

   2019年には、埼玉県の越谷レイクタウン駅に掲出されていた、きっぷの使い方を説明するポスター「きっぷってなに?」が話題に。「たしかに何年もきっぷを買っていない」といった反応が集まっていました。

<とある駅に『"きっぷ"とはなにか?』を説明する掲示...その掲示を見て様々な想いを抱くTL「自然な流れかなぁ」「時代だねぇ」 - Togetter>

   きっぷの自動券売機、とくに新幹線の指定席券売機のわかりにくさは以前から議論になっており、直近では新型コロナウイルスの蔓延によって対面を避けられることや「みどりの窓口」の減少などをきっかけに利用機会が増えたため、話題に上がる機会が増えたようです。自動券売機にも社会情勢に合わせた進化が求められそうですね。

   以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド出張版」でした。次回もお楽しみに。

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