混雑、マナー悪化...サウナブームの「弊害」も
日本にはこれまで3回サウナブームが訪れたと言われる。1964年東京五輪の選手村にサウナが設置されたことをきっかけに、全国に広まった第一次ブーム、90年代の健康ランド・スーパー銭湯などの温浴施設ブームと合わせて広まった第二次ブーム。そして、2010年代中頃から現在にかけての第三次ブームだ。
注目用語をまとめた「日経キーワード2022-2023」(日経HR編集部)によると、インフルエンサーによるSNS投稿の盛り上がりや、サウナを描いた漫画「サ道」(タナカカツキさん作)のテレビドラマ化(19年、21年)、サウナのあとに水風呂や外気浴でリラックスすることを指す「ととのう」というワードの流行などが、第三次ブームの特徴だ。また、海や川など自然環境を生かしたサウナや、持ち運び可能なサウナ、路線バスを改造した移動型のサウナも登場するなど、楽しみ方は多様化している。
ただ、ヨモギダさんは「入場規制が敷かれるほどサウナが混雑し、利用者が増えたことでマナーの悪い人も目立つようになりました」とブームによる弊害も生まれたと指摘。そうしたシチュエーションを避けたり、一般的なサウナにはないメリットを求めたりする人々の間で、個室型の需要が高まっていると分析する。
「サウナに興味はあるけれど、人前で裸になることに抵抗がある方、人目を避けたい有名人、障害を持つ方やセクシャルマイノリティの方も、個室であれば使いやすいのではないでしょうか。SNSに写真をアップしたり、自分の好きな音楽をかけたりと、従来のサウナにはない新しい使い方ができるのも強みと言えるでしょう」
一方で、個室型の料金相場は1回あたり4000円程度で、「日常使い」するには厳しい価格だとヨモギダさんは指摘。店舗同士の競争が激化し、過熱気味なサウナブームが収束すれば「淘汰される店舗が出てくる可能性もあるのではないでしょうか」との見方を示した。