JR東日本は、東京駅の丸の内側と八重洲側を結ぶ南部東西自由通路の本体工事に着手することを2022年3月10日に発表した。東京駅の南側で丸の内側と八重洲側の移動が便利になるこの通路の完成予定時期は2029年頃という。
丸の内南口と八重洲南口を改札外で連絡
新しい東西自由通路は丸の内南口の地下広場と八重洲南口をつなぎ、幅員8メートル、総延長約290メートルとなる。中央線から新幹線まで地上だけで10面20線のホームがある東京駅は南北300メートル以上の長さがあるが、改札に入らずに東西を移動するには北側の北自由通路を使うしかなく、南側で丸の内口と八重洲口を行き来するには駅から南下して馬場先通りまで迂回する必要があった。南部東西自由通路が完成すれば、南側の移動時間が大幅に短縮される。
JR東日本は発表で「東京駅の東西地区の交流や連携を強化し、駅周辺の回遊性の高い歩行者ネットワークの形成を図るため」と工事のねらいを説明している。2029年頃の完成を目指す。
東京駅南側エリアは丸の内側にJPタワーと丸の内ビル、八重洲側にJR高速バスターミナル・グランルーフ・グラントウキョウサウスタワーなどがある。東西自由通路の完成後はこれらの施設間の移動が便利になりそうで、ネット上では「ダンジョン」と呼ばれるほど複雑な東京駅での移動が改善しそうだ。
「ミッドタウン」はじめ再開発が進む八重洲
八重洲口の南側は今後再開発計画が進行していくエリア。東京駅八重洲口を出て外堀通りを渡った八重洲2丁目では大型複合施設の東京ミッドタウン八重洲が22年秋に開業予定で、上層階にはブルガリホテル東京も入居する。併せてミッドタウンの北側と南側も高層複合ビルが建てられる計画で、三井不動産がこれら3棟の計画を担っている。再開発の完了は2028年頃で、完成の際には地下に広場とバスターミナルが設置される計画だ。
東京駅の南側自由通路が完成すると、有楽町駅方面に迂回せずに丸の内側と行き来できるようになる。JR東京駅から徒歩圏内の東京メトロ丸ノ内線東京駅・千代田線二重橋前駅・銀座線京橋駅からの動線も改善が見込める。
現在八重洲口には南側にJR高速バスターミナルと都営バスのターミナルがあるが、その他の民営高速バスは周辺の路上や鍛冶橋駐車場に発着する。東京ミッドタウン八重洲地下の新バスターミナルにはまずJR系以外の民営バス路線が集約される計画で、八重洲側はバスターミナル機能の強化も進む。
日本有数のビジネス街かつ皇居と赤レンガ駅舎を望む観光地でもある丸の内側と、再開発で集客力が増す八重洲側を新しく結ぶのが南側の東西自由通路だ。完成はおよそ7年後になるが、東京駅周辺が「歩いて楽しめる」街になるのにこの通路も貢献しそうだ。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)